Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

言葉のルーツを探る旅人、語源ハンター

(4月10日放送)
わぐり たかし

わぐり たかし

数々のTV番組で放送作家として活躍する一方で、“語源ハンター”として言葉の由来を探る旅を続けている。読売新聞金曜夕刊ではコラム「語源ハンター」を連載。最新著書は『地団駄は島根で踏め〜行って・見て・触れる《語源の旅》』(光文社新書)。

このコーナーでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない各界の有名人をゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は、数々のテレビ番組で放送作家として活躍する一方で、言葉の由来を探る旅を続けている語源ハンターのわぐりたかしさんをお迎えします。じっくりとお楽しみ下さい。

英国ではサンドウィッチ伯爵に会う
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鹿島 :今週のゲストは、放送作家として活躍する一方で語源ハンターとして言葉の由来を探る旅を続けている、わぐりたかしさんです。よろしくお願いします。

わぐり :よろしくお願いします。

鹿島 :語源ハンター。言葉のインパクトがものすごいですね。

わぐり :語源ハンティングするんです(笑)。

鹿島 :語源、言葉の由来ですよね。

わぐり :そうですね。言葉の由来、ルーツを訪ね歩いています。ある特定の土地でこの言葉が生まれた、というものが結構あるんですよ。そういうところに出掛けて、何があったのか、どんな物語や歴史があったのかを掘り起こして楽しむ旅人、日本語の旅人ですね。

鹿島 :これだけインターネットが発達していますと、語源をネットで検索して「ああなるほどな」という世界もあると思うんですけど。

わぐり :ネットを見ると語源由来辞典みたいなのが出てきて、みんながそれを引用しまくってて出回っていますけど、全然違いますよ(笑)。

鹿島 :フフフ。やっぱり生まれた土地に行って。

わぐり :現場に行かなきゃ。

鹿島 :なるほどね。

わぐり :行くと違う話が伝わっていたりします。そもそも楽しんでやっているんです。言葉が生まれた場所のことを“語源遺産”と勝手に名付けているんですけど、語源遺産をめぐる旅をする旅人、これが語源ハンターです。

鹿島 :語源ハンティング歴はどのくらいですか。

わぐり :一生懸命回り始めたのは、4年から5年くらいですね。構想は20年くらいですね。

鹿島 :最近は海外でのハンティングから帰られたばかり。

わぐり :帰ってきたばかりですね。フランス、イギリスあたりに行ってきました。

鹿島 :言葉あるところ、国境は関係ない。

わぐり :関係ないですね。日本語で普段使っている日常会話に入り込んでいる言葉であれば。今回のイギリスだと“サンドウィッチ”。サンドウィッチ伯爵が由来だと言われていますけど、じゃあ伯爵にとりあえず会ってみようじゃないかとか。

鹿島 :いらっしゃるんですか。

わぐり :伯爵がいるんですよ。

鹿島 :ちゃんと受け継いでいる方がいるんですね。

わぐり :誕生の物語は、1700年代の4代目サンドウィッチ伯爵で海軍大臣でバリバリ活躍されていた方だったんですけど、その時にサンドウィッチが誕生したと言われています。今のサンドウィッチ伯爵は11代目で上院議員です。

鹿島 :お会いになられたんですか!?

わぐり :会いました。国会で(笑)。

鹿島 :どんな方でしたか。

わぐり :ビックリしました。何がビックリしたって、僕は身長180センチでそんなに小さくないんですけど、「こんにちは」って現れたら197センチでした(笑) おじいちゃんなんですけど、でっけえ〜って。

鹿島 :素敵ですね〜。

わぐり :197センチのおじいちゃんが、サンドウィッチ伯爵でしたね。

鹿島 :せっかくですから、クルマにちなんだ言葉を探っていきたいと思うんですが、ドライブに縁のある言葉の由来を教えてもらえますか。

わぐり :無理矢理行きますよ(笑) 例えばクルマを運転していて、前のクルマがもたもたしていて「ちんたらしてんなー」みたいな時の、“ちんたら”。

鹿島 :言いますよね。

わぐり :この言葉を訪ねて出掛けたのは鹿児島ですね。鹿児島には、焼酎を造る時の昔の言葉で“ちんたら蒸留器”というのがあるんです。今は近代化されてステンレスの樽で作ってしまうんですけど、当時は木の桶で作っていていたんですね。その時に、“ちんちんたらたら”の略で“ちんたら”蒸留器というのが昔から伝わっていまして、“ちんちん”というのは向こうの言葉でゆっくりという意味。“たらたら”というのは焼酎のしずくがタラタラと落ちてくるということ。ちんたら蒸留器で釜でゆっくり作るんですが、これを慌てると焦げ臭くなったり出来が悪くなってしまうので、ちんたらちんたら作るんです。これが明治維新の時に薩摩の人が江戸に大勢やってきて、薩摩弁が広がっていったと言われています。最近スローフードとか言われて昔の作り方を見直す動きもありますよね。僕が鹿児島をぐるっと一周したら、「昔のちんたら蒸留器をもう一回見直そう」という蔵元が4カ所くらいありました。ちんたらちんたら訪ねて(笑)、話を聞いて、見せてもらってちょいと呑んで。その時はバスと電車でしたけどね。

鹿島 :またそこで、ちんたら呑むんですよね(笑) いやー面白いですね〜!



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“ちんたら”、“のろま”の由来とは