Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

この秋、鈴鹿がカムイ色に染まる!

(10月3日放送)
高橋浩司

高橋浩司
(たかはしこうじ)

「F1速報」「月刊F1レーシング」編集長を経て、両誌のスーパーバイザーへ。
90年代初頭から、国内外で様々なカテゴリーのモータースポーツの取材を担当、膨大な知識と軽妙な語り口調でコメンテーターとしての人気も高い。
2006年からはじまった東京お台場のビッグイベント「モータースポーツジャパン」の運営にも関わる。

1967年7月17日生。
北海道札幌市出身。

このコーナーでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない各界の有名人をゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、『月刊F1レーシング』『F1速報』のスーパーバイザー、番組F1コメンテーターの高橋浩司さんをお迎えします。じっくりとお楽しみ下さい。

可夢偉、初の凱旋レースに期待
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鹿島 :今週のゲストは、『月刊F1レーシング』『F1速報』のスーパーバイザー、高橋浩司さんです。よろしくお願いします。

高橋 :よろしくお願いします。

鹿島 :毎年、日本グランプリの直前にお越し頂いていますが、まもなく10月10日に鈴鹿サーキットで決勝です。今年は僕の周りのしばらくF1を観ていなかった人達も、小林可夢偉選手の効果でまた観るようになったとか、新しい女性ファンが増えたりですとか、そういった動きを感じます。シンガポールグランプリでもいい走りをしていましたが、現地の雰囲気はどうでしたか?

高橋 :シンガポールグランプリは、公道でF1が走るには路面がガタガタなコースでして、ザウバーという可夢偉くんが乗っているチームのクルマにとっては決して相性の良いサーキットではないんですね。モナコも悲惨でしたし。彼らのクルマは足回りがわりとガチガチで、跳ねがひどいんですよ。これは単純に柔らかくすればいいという問題ではなく非常に相性が悪い。「モンツァとシンガポールは一番ダメだ」と本人もきっぱり言っていたんですが、予選までに上手くセッティングを合わせて完璧な走りをして予選10番手。これは素晴らしかったと思います。

鹿島 :決勝は、ミハエル・シューマッハ選手を抜いて。素晴らしかったですね。

高橋 :元気のいい走りでシューマッハをずっと追い詰めて、でもなかなか抜けないコーナーだらけのサーキットの中、周回遅れにシューマッハが捕まった瞬間にインに飛び込んで、ちょっと接触もありましたが抜いて、これで入賞圏内を維持するためにペースを上げたところでタイヤが終わりかけていてスピンをしてしまった。残念ながらリタイヤでしたけどね。

鹿島 :結果は残念でしたけど、予選10位から9位に上げて走行中にリタイヤということで、日本グランプリに繋がる気迫は感じられましたよね。

高橋 :彼は「どのレースもベストを尽くす」ということは言うんですけど、地元、日本グランプリですし、そういう意味では、日本に凱旋して大観衆の前でレースを戦うのは初めての経験なので、とっても楽しみにしています。中高速のスムーズな路面はザウバーのクルマもハンデが少ないと思うので、予選もトップ10が狙えるでしょうし、決勝も完走すればポイント圏内でちゃんとフィニッシュしてくれると思います。

鹿島 :先日、小林可夢偉選手は、F1の夏休み期間中に日本に帰ってきて、色んなところでプロモーション活動をしていましたけど、至る所でもみくちゃで大変なことになっていましたね。

高橋 :彼の活躍を知っている人だったら当然注目していますし、今まで日本人のドライバーが何人もF1に出ましたけど、チームメイトにガチンコで勝って、1年目からいわばチームのエースという立場で戦えるドライバーというのは、今まで僕の知っている範囲ではいなかったはずなので、そういう意味ではF1界で一目置かれる存在になっています。彼自身も、自動車メーカーや色んな日本の企業とF1の関わりが少なくなっていく中で、自分に出来ることはなんだろうと考えています。「自らF1の広告塔になって、より多くの子供たちに将来F1を観てもらうために一生懸命やる」というのは常々言っていて、夏休みはそういったPRを一生懸命やっていましたね。

鹿島 :スポーツの中でもレースの場合は、競技に集中するためにオフシーズンは山に行ってマウンテンバイクに1日中乗ったりと、トレーニングに時間を費やして、あまり積極的にプロモーション活動をしない大御所ドライバーが多いですよね。

高橋 :ええ。みんなイヤがるんですよ、基本的に。そういう活動は面倒ですし時間も取られますから。とはいえ彼は1年目ですし、これからの日本のモータースポーツ業界の全体のことを考えている。若いのに殊勝な心がけだと思うんですけど、そういう考えで一生懸命やってくれていますね。

鹿島 :小林可夢偉選手は日本でレーシングカート、いわゆるゴーカートみたいなレースで全国大会に出ていた頃からよくその姿を見ていましてね、フォーミュラ・トヨタで日本で活躍している時にも何度もお話ししましたけど、最近はなんというか、人徳というか人としてのパワーがものすごくアップしている雰囲気をテレビから感じるんですけど、どうですか?

高橋 :キャラクターは面白いですし、取材をしていて言葉の使い方や表現も面白いですし、年齢が若いわりには大人の対応をしてくれますし、それでいてアグレッシブな走りを見せてくれる。非常に我々としては期待をしながらも楽しく付き合っていけるドライバーですよね。

鹿島 :中にはちょっと近寄りがたいような、取材がしずらいというか、出来ればあんまり話を聞きに行きたくないような雰囲気の人もいらっしゃる世界ですが(笑)。

高橋 :そういう人もたくさんいますよね。

鹿島 :そういう意味では、取材者もワクワクしてしまう魅力を持ったキャラクター。

高橋 :そうですね。

鹿島 :そのパワーが年々増していると。彼は、地元の尼崎に行った時も、近所のおばちゃんやタコ焼き屋のオジサンに拉致されたりとか(笑)。

高橋 :気さくな(笑) 彼はそういう人のつきあいを大切にしていますね。

鹿島 :素敵だなと思いましたね。


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