Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

ハンドドライブが生む未来
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鹿島 :実際にレース用のライセンスを手にして、2007年から、まずはアジアのクロスカントリーラリーに出場。初年度の2007年が総合7位、2年目がクラス優勝、去年が総合12位で、今年の8月、お盆のちょっと前に終わったばっかりですけど総合8位。もうどんどん経験を積んで。パリダカも出られましたよね。

青木 :そうですね。パリダカは2009年1月ですね。日本の真裏まで行って。本来はパリダカって、フランスをスタートしてモロッコに渡って、セネガル、ダカールを目指すっていうルートがあったんですけど、治安がちょっと不安定だということで、大会を南米に移してリスタートを切ったという形の初年度に行ったんですよね。

鹿島 :ダカールラリーはよくテレビでも観ることができますけど、このアジアクロスカントリーラリーっていうのはどんな雰囲気ですか。

青木 :そうですね。とにかく泥がすごいんですよね。泥であったり、川の中をずーっと走っていくというステージが今回はあったんですけど。

鹿島 :これは、水深50〜60センチくらい?

青木 :50〜60センチのところもありますけど、途中は川があって…。

鹿島 :あっ、もうフロントウィンドウの上まで?

青木 :全部埋まっちゃうところもありますし。

鹿島 :うおっ! これはクルマが止らないように吸気系が屋根の上までいってますもんね。

青木 :はい。だからそこギリギリですよね。

鹿島 :これ、マフラーは大丈夫なんですか。

青木 :マフラーは、もうアクセルを開けっ放しなんですよ。

鹿島 :要は、ずっと吹き続けているという。

青木 :吹き続けていないといけない。よく集中豪雨で止っちゃってる人がいるじゃないですか。あれっていうのは、フロントのボンネットのところに水がボヨンと入ってきて、ウォーターハンマーっていう、シリンダーの中に水がポコっと入ったらおしまいみたいなのがあります(笑) そうならないようにシュノーケルみたいな形で上についています。

鹿島 :いま青木拓磨選手がやられている活動は、僕なりにどういうところに生かされるのかなと勝手に考えたんですけど、いわゆるハンドドライブのレーシングカー、ラリーとレースの世界でハンドドライブのシステムをどんどん良いものに向上させていくと、これから挑戦してみようですとか、あるいは一般道でももっと運転しやすかったり、もっとスポーツドライブが楽しめたりという新しい機構が生まれるのかなって。

青木 :そのとおりです。これから電気自動車っていうのが外せなくなってくると思うんですよね。確実に市場に出てくる。ということはエンジンという概念がなくなるんですよね。エンジンの概念がなくなると、今度はガソリンの概念がなくなって、じゃあそれこそブレーキの概念やアクセルの概念、そしてそれを操作する操作系もどんどん変わっていくんですよね。

鹿島 :いまふと思ったんですけど、例えば免許をまだ持っていない子供たちが上手にゲームのコントローラーを使って…。

青木 :そうです(笑)。

鹿島 :正直、ゲームじゃ負けるんですよね、むしろ(笑)。

青木 :でも、うちも子どもがいますけど、Wiiとかね。Wiiって棒一本じゃないですか。棒一本でマリオカートをすごく上手く走るわけですよ。F1とか。ありえないですよね。ということは、F1の300km/hをWiiのリモコンで走れるってことは、じゃあ将来的にはやはりクルマってWiiみたいなリモコンで運転が出来ちゃうって僕は思うんですよね。そしてそれはすごく近い未来なんだろうなって思うんですよ。





“目標”が持つ“チカラ”
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鹿島 :きょうは色んなお話しを、この短時間でお伺いしてきましたけど。

青木 :いやすいません、マシンガンのように話してしまって(笑)。

鹿島 :とんでもないです。レーサー、レーシングドライバーとしての最終目標という言い方は変かも知れませんけど、夢といいますか、達成したいものはどういうところにあるんでしょうか。

青木 :やはり、僕もまだ障害をいまは負っていますけど、ES細胞であったり色んな医療の技術も、すごく、5年前〜10年前に比べると発達しているんですよね。だから僕も治る希望はずっと残していたいし、いまでもリハビリはやっているし。いま出来ることを自分でやろうってなっているわけですよ。だから決して背伸びはしない、いま出来ることをまずしていく、まずクリアしていく。それで最終目標に到達して行ければいいのかなと。目標をまたクリアしたら次の目標と、どんどんやって行ければいいなと思っています。実は2009年にダカールに行った時に怪我をしてしまいまして、半年間 入院することになってしまったんですね。その時にガツっとやつれちゃったんですけど、その時に感じたのは、パリダカっていう目標に行って願いが叶って、行ったまではいいんですけど途中でリタイアしてしまって、非常に悔しい思いをしながら帰ってきて、帰ってきたら帰ってきたで怪我して半年入院してっていう話になっちゃったんですけど、ただその半年の入院で先の見えない治療をずっとやっていたんですね。その時に再確認したのは、やっぱり人間って目標を持つから生きていけるんだなっていうこと。いつまで続くか分からない闘病生活をずっと繰り返していると、目標がつかめなくなってしまうので治りも遅くなっちゃうんですね。だから、絶対にここまでに治す!っていう、ここまでに治してまた8月のラリーに復活するんだっていう風に、ケツをしめることによって驚異的な治り方をするわけですよね。お医者さんからは「1年は掛かりますね」と言われていたんですよ、実は。でもそれを半年でなんとか行けるようになったので、そこはやっぱり医学的には考えられない、だけど絶対にこれをするんだ! という気持ち、病は気からってよく言うじゃないですか。でもそれだけじゃどうにもならない病気もあったりするんですけど、バイクで走っていた時っていうのは、鎖骨を骨折することが結構あったり、腕や足を骨折することが結構あったんですね。でもいま思えば、怪我をしてもしても通常より治りが早いんですよ。それはなんでかっていうと、別に煮干しを食っていたわけでもカルシウムをいっぱい摂っていたからっていうわけでもなくて、それ以上に“治すんだ!”っていう気持ちが、折れている部分に血を送り込むというか、本当にレントゲンで見るとみるみる骨がくっついていくんですよね。

鹿島 :おおー!

青木 :通常、「これは1カ月安静です」って言うところが2週間で治ったり。そういう意味では、目標を持つっていうことが身体的に、僕の場合はレースでしたけど、それは色んな人にも言えるんじゃないかなと思うんですよね。例えば、学芸会の発表であったり、テストであったり。テストに行く時って風邪をひかないんですよね。でもレースが終わった瞬間に風邪をひいたりするじゃないですか。やっぱりそこって気が張っているから菌を寄せ付けないわけですよ。そこっていうのは医学的には考えられない力が動いているんだろうなと思うし、改めて健康について自分も学んだっていうのはありますよね。

鹿島 :いやーしかし、これから先がまた楽しみですよね。

青木 :いやいや(笑)。

鹿島 :学校で講演もされたりしているようですけど、オートバイのスクールをプロデュースしたりと色んな活動もやられていますよね。

青木 :やはりバイクに恩返しをしたいって思うし、あとは日本でのモータースポーツをどんどん広げていきたいっていう気持ちから、そういったバイクのレースのイベントをさせてもらったり、あとは子供たちに、僕が小学校3年生の時に受けた感動を伝えていきたいし、そういうのがあったので、スクールとかをやらせて頂いています。

鹿島 :ウェブサイト、それからブログ、さらにツイッターもやられていますので。

青木 :そうですね。ツイッターもフォローして頂ければ。いま何やってんだ、とか何考えてんだかっていうのが、ダイレクトに分かりますので。

鹿島 :青木拓磨さんで検索して頂ければ、色んな情報が出てきますので。

青木 :そうですね。よく間違えられるのは、拓磨の“拓”、石川啄木の“啄”じゃなくて、木村拓哉の“拓”のほうで(笑)。

鹿島 :実際イケメンですし。

青木 :いやいや!

鹿島 :昔っからイケメンで有名なんですけどね、本当にありがとうございました。またぜひお越し頂きたいと思います。次はまたどこか世界の耐久レースに出たタイミングとか、そのあたりで来て頂けると。

青木 :そうですね。夢はル・マンで頑張りたいと思います。

鹿島 :僕も連れて行って下さい。

青木 :ぜひぜひ(笑)。

鹿島 :本当にありがとうございました。






今週は、元世界グランプリライダーで、
現在は手を使ってアクセル・ブレーキを操作する、
ハンドドライブのクルマで海外のラリーや国内の耐久レースで活躍している
青木拓磨さんをお迎えしました。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストをお迎えしてお送りします。
お楽しみに!




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