Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

新天地で頂点を目指す

(5月16日放送)
佐藤琢磨

佐藤琢磨
(さとうたくま)

東京都出身 1977年1月28日生まれ

中嶋悟がフル参戦を開始し日本中がF1に沸いた1987年、10歳の時に鈴鹿サーキットでF1日本GPを観戦しアイルトン・セナの走りに魅了されモータースポーツに興味を持つ。高校、大学ではインターハイで優勝するなど自転車競技で活躍。

1997年、鈴鹿サーキットレーシングスクールに入校、首席で卒業し翌年の「全日本F3」のスカラシップを獲得し出場、7月からは英国へ渡り、下位クラスからの挑戦をスタート。
2000年には「イギリスF3」でシリーズ3位、2001年には同シリーズチャンピオン、F3世界一決定戦の「マルボロマスターズ」「マカオGP」で王座を獲得した。

2002年、ジョーダン・ホンダからF1デビュー、日本GPで初の5位入賞、2004年のアメリカGPでは3位入賞と随所で光る走りを見せるが、2008年、所属チームの撤退に伴いシートを失う。2010年からはアメリカンモータースポーツの最高峰「インディカーシリーズ」へ参戦を開始。新天地での活躍にファンや関係者の注目が集まっている。

このコーナーでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない各界の有名人をゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は、元F1ドライバー、今シーズンはアメリカモータースポーツの最高峰、インディカーシリーズで活躍する佐藤琢磨選手に、先日都内で行われたインディジャパンの記者発表の後、特別にお時間を頂いて単独インタビューさせて頂きました。じっくりとお楽しみ下さい。

F1から米国最高峰インディへ
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鹿島 :2001年のマカオグランプリ、佐藤琢磨選手がF3で世界一に輝いた時に、テレビの取材でじっくりお話しを聞いて、あれからもう9年ですか。

佐藤 :そうですね。あっという間でしたね。

鹿島 :F3で世界チャンピオンになって、そのあとF1にステップアップされたわけですけど、F1での活躍を経てアメリカンモータースポーツの最高峰であるインディカーシリーズに参戦といういうニュースが流れた時には本当にびっくりしました。5レースが終わって、予選で6位に入ったり、決勝も、この間のカンザスでもトップ3が十分狙えるところを走っていますけど、いかがですかインディは。

佐藤 :本当に新天地で、全く新しいチャレンジになるので、まあ今年はとにかくどこまでできるのか、どんな風なのかとすごく期待感でいっぱいだったんですけど、実際にレースが始まってみてやっぱり難しいことがたくさんありますね。F1での経験、これまでの経験が生かせるところもあるんですけど、それ以上に学ばなければいけないところがたくさんあって、ここまで最終的なリザルトとしては思い描くような結果は残っていないんですけど、それ以上に非常に多くのことを学んで手応えを掴んで、僕としては最初の5戦はすごくポジティブに捉えていますね。

鹿島 :僕も、一つ下のインディライツでオーバルを走った経験があるわけですけど、ほとんど佐藤選手はオーバルの練習をしないで、ぶっつけ本番であれだけ走れたっていうのは、アメリカの関係者やファンの皆さんもびっくりしたんじゃないですか。

佐藤 :本当にレースが終わった後、たくさんの人が来てくれて「すごくいいレースだったね」ってことで、まあ最終的にはちょっと残念なアクシデントがあったけど、チームのみならずほかの関係者やファンもサムアップしてくれて。僕自身もすごくレースが楽しかったので、不安もあったんですけどこれでオーバルレースをやっていけそうだなっていう自信に繋がりました。

鹿島 :正直、どうなんでしょう。今までのF1での「左に曲がって、次は右行って、ブレーキ踏んで」っていうレースから、ほとんどノーブレーキでアクセル全開でっていうオーバルを初めて走った時はどんな気持ちでしたか。

佐藤 :ブレーキを踏むのが前提に、自分のドライビングポジションっていうかスタイルができあがっていたので、オーバルに入ってなかなかブレーキを踏まないことがすごく違和感があったんですけど、意外とすんなりなじめたというか。もちろんいきなりレースっていうのは不可能なわけで、当然オーバル初体験ドライバーにはルーキーテストがありまして、僕自身もカンザスの最初のレースが始まる数日前に半日間、オーバルで練習しました。最初走り始めた時はやっぱりちょっと怖かったですね。実際にカンザスのオーバルですと、平均速度が350km/hくらいになるんですけど、その速度でコーナーに飛び込んでいくっていうのは今までちょっと体験したことがないので、多少は不安もあったんですけど、でも走るごとにフィーリングを確かめながら、どんどんアクセルを踏み込んでいって。その日の夕方には予選のシミュレーションみたいなこともやって、単独で走る部分としてはすんなりできたかなと。ただレースが始まって、本当に驚きましたね。というのは、僕は11番手くらいからスタートしたんですけど、最初はやっぱり慎重にならざるを得なくて、ちょっとアクセルを緩めるとあっという間に抜かれてしまう。気がついたら20番くらいまで落ちてしまいまして、そこから1台1台、1周1周を落ち着いて経験しながら行ったんですけど、なんて言ったらいいんだろう…それだけの速度域になると前のクルマが走り出す乱気流がものすごくて、1人で走っている時とは比べものにならないくらいに難易度が増して、オーバルの難しさを知ったというか。逆にそこを上手く利用しながら集団の中でポジションをひとつひとつ上げる楽しさっていうのも覚えて。レース終盤に向けてどんどんポジションアップできたことは、自分の中でも自信に繋がりましたね。


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F1とインディ、最大の違いは