Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

今年のF1、混戦模様で面白い!

(5月2日放送)
高橋浩司

高橋浩司
(たかはしこうじ)

「F1速報」「月刊F1レーシング」編集長を経て、両誌のスーパーバイザーへ。
90年代初頭から、国内外で様々なカテゴリーのモータースポーツの取材を担当、膨大な知識と軽妙な語り口調でコメンテーターとしての人気も高い。
2006年からはじまった東京お台場のビッグイベント「モータースポーツジャパン」の運営にも関わる。

1967年7月17日生。
北海道札幌市出身。

このコーナーでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない各界の有名人をゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は、日本を代表するF1雑誌『F1速報』、『月刊 F1レーシング』の元編集長で、現在はスーパーバイザーの高橋浩司さんをお迎えします。お楽しみ下さい。

皇帝はいつ目覚めるのか?
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鹿島 :今週のゲストは、番組F1コメンテーターの高橋浩司さんです。よろしくお願いいたします。

高橋 :よろしくお願いいたします。

鹿島 :F1は、最近は毎年ルールですとか仕組みが変わりますけど、今年はいわゆるレース中にピットに入ってメカニックの方があっという間にガソリンを給油して、またピットアウトしていくという給油がなくなりましたよね。

高橋 :そうなんですよ。

鹿島 :このルール改正によって、F1は面白くなったんでしょうか。

高橋 :どっちの見方もできると思うんですよね。昔、日本中がセナ・プロに沸いた時代っていうのは、給油なんかなかったですし、でもやっぱり面白かったじゃないですか。ああいうレースがまた見られるんじゃないかなっていう期待がある一方で、やはりレースの順位がなかなか変わらない、トップ独走になってしまうんじゃないかっていう懸念はあります。現在まで4戦が終わっていますけど、幸か不幸か雨がらみのレースが多くてね、なかなか目の離せない展開が続いているんですけど、今後ずっと晴れのレースが続いた場合は、もしかしたら中には退屈なレースが出てくるかも知れないなっていう気がしますよね。

鹿島 :なるほど。雨が続いたこともありまして、結構、追い抜きシーンも多かったですし、あとはタイヤを交換する、いわゆる雨の量に合わせてタイヤを適切なものに交換するためにかなりピットインも多かったですし、見ている方としてはああいうワチャワチャしたレースってやっぱり面白いんですよね。

高橋 :そうなんですよね。現場は大変だと思いますけど、やはり見ている方は飽きないんで最後まで見られますよね。

鹿島 :最近、F1を皆さんご覧になっているかどうか分かりませんけれども、フェラーリのアロンソが勝って、第2戦ではマクラーレンのバトン、レッドブルの若手のベッテルが勝って、こないだの上海の第4戦ではマクラーレンのバトンが今年2勝目を挙げると。今までのF1ですと、トップの人がぶっちぎりで、5周くらいで眠くなるっていう(笑) まわりのそんなにF1が好きじゃない友人たちは、もう大体「きのうも6周くらいまでしかもたなかったよ」みたいな話がよく聞かれていましたけど、ここ4戦まではわりと起きている人が多いんですよ。

高橋 :そうですね。去年を思い返すと、開幕から7戦目まででジェンソン・バトンが6勝しちゃったっていう、独走のシーズンではありましたけど、今年はこれまで4戦でウィナーが3人という状況ですから、かなり上位争いは混戦模様ですね。

鹿島 :この方向はこの後もやっぱり続いていきそうですか。

高橋 :ただし、いわゆる4強といわれるチームがあって、その中にドライバーが8人いますから、おそらく優勝争いはその8人の中からになってくると思うんですね。

鹿島 :まだ勝っていないドライバーで、これからトップ争いに絡んできて優勝しそうなドライバーって誰ですか。

高橋 :レッドブルのセバスチャン・ベッテルのチームメイトがマーク・ウェバーもクルマがものすごく速いですし、みなさんが期待していたと思うんですがミハエル・シューマッハが今年3年ぶりにメルセデスGPから復活したんですけど、彼はいまのところ本調子じゃないですがまだまだ勝てるチャンスはいくらでもあると思いますし、彼のチームメイトのニコ・ロズベルグが初優勝する可能性もありますよね。

鹿島 :ミハエル・シューマッハはもうすぐ42歳になるんですよ。全く僕は同い年ですけど、ぜひ頑張って頂きたいなと毎回応援しているんですが、こないだの上海の雨のレースは、本当に若手にどんどん抜かれて…ちょっと切ないレースでしたね。

高橋 :そうですね〜。もうシューマッハはさび付いてしまったか! なんて言われてしまったんですけど、まあこれにもやっぱり、シューマッハが年齢とは関係なく、ドライビングスタイルの部分でクルマに合わないという理由があるみたいですね。

鹿島 :具体的にはどういうことなんでしょう。

高橋 :去年から今年にかけて、フロントタイヤの幅が少し狭くなったんですね。どちらかというと去年までのクルマっていうのは、フロントタイヤに加重をかけてフロントで引っ張って回っていくような旋回性能で、若干のオーバーステアっていうんですか、お尻がちょっと軽いというかそういう傾向のクルマがシューマッハは好みなんです。だから去年のクルマに乗ったらシューマッハは速いと思うんですけど、今年は弱アンダーステア傾向にどうしてもなってしまうと。それからブラウンGPから引き継いだメルセデスGPの新車が若干、重量配分の部分で計算ミスをしてしまったようなところもあるみたいです。だから今度のスペイングランプリでは、それまでにシューマッハ用のモノコックを新しくするって言ってますし、重量配分もそこで抜本的な改革はできないにしても、シューマッハの好みに近づけるような是正は行われるんじゃないかなっていう風には思っていますけどね。

鹿島 :シューマッハは昔から、F1にステップアップする前から、チームの気持ちを一つにしてみんなを“勝とう!”っていう方向に掌握するのがすごく上手なアスリートって言われていますけど、さっそく復帰してわずか4戦でもう自分用のクルマを作らせてしまうっていうのはさすがですよね。

高橋 :それはもう、引っ張り出したからには、チームとしてもこんな調子で置いておくわけにはいかないっていうのはあるでしょうし、やはりそこは、チームメイトに比べても一日の長がありますから、いまのところダメでも中盤戦・後半戦で必ず盛り返してくれると思いますね。

鹿島 :ドイツのリサーチ会社によりますと、ドイツのモータースポーツファンの63%が、「シューマッハの復帰は間違いだった」という結果を先日発表していましたけどね。

高橋 :その判断を下すのは、ちょっと早いんじゃないかなっていう気が、僕は個人的にはしないではないですけど、必ずやってくれると思いますよ。


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日本で育った二人に期待