Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

F1界を揺るがせた事件を総括!

(8月23日放送)
高橋浩司

高橋浩司

(たかはし こうじ)

「F1速報」「月刊F1レーシング」編集長を経て、両誌のスーパーバイザーへ。
90年代初頭から、国内外で様々なカテゴリーのモータースポーツの取材を担当、膨大な知識と軽妙な語り口調でコメンテーターとしての人気も高い。
2006年からはじまった東京お台場のビッグイベント「モータースポーツジャパン」の運営にも関わる。

1967年7月17日生。
北海道札幌市出身。

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は、日本を代表するF1雑誌『F1速報』、『月刊F1レーシング』のスーパーバイザー、高橋浩司さんをお迎えします。お楽しみ下さい。


F1分裂騒動を振り返る
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鹿島 :今週のゲストは、番組レギュラーF1コメンテーターの高橋浩司さんです。お久しぶりです。

高橋 :よろしくお願いします。

鹿島 :定期的にご出演して頂いているわけですが。

高橋 :いつもありがとうございます。

鹿島 :こちらこそ。F1界も、このところちょっと政治的なもめ事が、一般のメディアでも話題になっていましたね。

高橋 :そうですね。レースの内容うんぬんではないところで非常に色々な話題が出ました。

鹿島 :かなり分かりづらい部分もありましたので、改めて最近のF1界のもめ事と経緯、過程と結論を教えて下さい。

高橋 :まず、政治的に色々とゴタゴタがあって、みなさんも「F1分裂か」みたいな記事を目にされたかと思うんですけど、現在はちょっと落ち着いたんですけど、一時はコスト削減という命題の下に、統括団体であるFIAと参加するチームの団体とで非常に激しいせめぎ合いがあって。F1からチーム全部が離脱して、別シリーズを立ち上げるぞという事態がここ1、2ヶ月の間にずっと続いていました。

鹿島 :具体的には、ものすごく年間経費を削減しようということでしたので、よく内容が分からない者にとっては「いいじゃない」と(笑) 、昨今の世の中の流れに合っていて、400億とも500億とも言われている予算を、40億くらいに減らしてみたらどうかという提案だったわけですよね、元々は。

高橋 :そうなんですよ。ただ、40億、50億っていう金額は急には出来ないですよね、やはり。

鹿島 :そうですよね。

高橋 :チームからしてみたら、500億のレース活動をするリソースを持っちゃっているわけですよ。それをやらないとすると、設備も全部封印しなければいけない。何よりも一番難しいのは、雇用している従業員を解雇しなければいけないわけですよね。そこにすぐ持って行くのは無理だと。そこで、段階的に自主規制でやるから、いきなり4000万ポンドだったかな、FIAが決めた額に予算制限するのはちょっと勘弁してくれっていうのが発端で、色々とゴタゴタがあってFIA会長であるマックス・モズレーさんの辞任を要求したりとか、そういうことも個人的な感情も絡んできて、一時期は本当に収拾がつかないんじゃないかと思ったんですけど、何とかモズレー会長が次回の会長選に出馬しないと。任期が今年で切れるんですけれども、それ以降の会長人事は、ジャン・トッドとアリ・バタネンという別の候補が立つことにはなったんですが、いったん収束して、いわゆるバジェットキャップっていうFIAが提唱した来年度からの規則はお蔵入りになって、チーム間で取り決めた予算制限が採用される形で、なんとか協定を結んだという形ですね。

鹿島 :具体的には幾らくらいになるんですか。

高橋 :具体的な金額は出てこないんですけど、90年代初頭のレベルに戻そうという表現になっています。それが幾らになるのか僕もちょっと、はっきりは分からないんですが、まあ100億円前後になっていくんじゃないかなという気はします。

鹿島 :F1シーンといいますのは基本的にお金のことがあまりオープンになっていませんけど、まあ400億くらい。それを「10分の1」と言われていたものが、大体4分の1のところかなという。

高橋 :4分の1、5分の1。それでもすごい金額の差ですから、何が出来るんだろうっていうのはちょっと分からないですけどね。

鹿島 :これはでも、来年はそういった予算でF1のチームが運営されるわけですから、そこはファンとしては非常に気になるところですし、ある意味、見所が増えるようなところはあるんじゃないでしょうか。

高橋 :たぶん、ファンの方が見てもそんなに代わり映えはしないかも知れない。というのはプロモーションの費用は制限に含まれていないし、ドライバーのサラリーも含まれていないっていうところで、見た目はリッチでも、中身はカーボンファイバー多用のマシンが鉄のマシンに変わるかもしれないですけど(笑)。

鹿島 :なるほどね。期待したいところは、チーム間のマシンの差が少なくなって、ドライバーの技量によるところ、あるいはチームのマネージメント力、人をどう動かすかという部分の強さみたいなところの戦いになると、人と人との戦いがクローズアップされて面白いんじゃないかなと私は個人的に思いますけど。

高橋 :そうかも知れないですね。差は縮まるでしょうし、うまいアイデアを見つけて効率よくクルマを作ったり戦ったりするチームが勝つ。まあ本来そういう姿が正しいと思いませんか?

鹿島 :トヨタチームあたりが、“カイゼン”パワーで(笑)。

高橋 :そう。トヨタの“カイゼン”なんかは、効いてくるシステムかも知れないですね。

鹿島 :ここで一気に、というのも楽しみですね。




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