Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

ある夜、パトカーに囲まれて
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鹿島 :17カ国。特に忘れえぬ思い出と言いますと…、たくさんあると思いますが。

山田 :毎日が驚きの連続だったので話すと長くなっちゃうんですけど、アメリカですと、ある日モーテルで燃料を夜に作っていると、いきなりサイレンをつけたパトカーが何台も来てしまいまして。ついに僕もテロリストとして密告かなんかされて…もう捕まっちゃって旅も終わりかなと。

鹿島 :フフフ。

山田 :そう思ったら、どうも僕のウェブサイトを見たと。それで「他の署の警察官にも話をして、みんなで見に来たんだ」と。

鹿島 :うわ、すごいですね!

山田 :はい。それで「写真撮らせてくれ!」っていうことで、それでクルマから降りてきた方が丸坊主の凄い方とか、SWATみたいな人たちがいっぱいで(笑)。

鹿島 :アハハ!

山田 :これはもう終わりかと思ったんですけど、みなさんすごく優しい方で。それで終わりかと思ったら隣の街からまたポリスがやってきて、朝の4時くらいまで色んな警察官が写真を撮りに来られて。警察無線を聞いたらしいんですけど。それで最後に、10ドル札を「寄付だ」って言って頂いたんですけど。警察にお金を払ったことはあっても、頂いたのは初めてでしたね。

鹿島 :すごいですね(笑) でも、天ぷら油から燃料を作る、小型の精製プラントを載せているわけじゃないですか。ああいうシステムなんて見られたことが無い方ばっかりですよね、当然。

山田 :そうですね。環境に優しいってこともあって、これはいいことだって、すごく握手されてビックリしました。

鹿島 :どこだったんですか。

山田 :ニューオリンズだったんですけど、あとはやっぱりインターネットだとか、そういうバイオディーゼルに興味がある方たちが色々とサイトがあるもんですから、そこで色々と話題になってまして、後半は高速道路で見ず知らずの方が手を振って行くんですね。

鹿島 :へえ〜っ!

山田 :あとはバンに乗っている家族、親子ともどもバイオディーゼル燃料に興味があるらしくて。あとでメールも頂いたんですけど、もう手を振って写真を撮りまくられて、どうしてこんなに興味があるんだろうと思うくらいにビックリしたことがありましたね。

鹿島 :やはりアレですかね、日本よりも、例えばアメリカやヨーロッパのほうが圧倒的にバイオディーゼル燃料に対する興味や知識が大きいってことですかね。

山田 :やっぱりヨーロッパのほうはバイオディーゼル燃料を、国を挙げてやっているところがあるので、TAXの問題とかそういった面でも優遇されていますし、実際にバイオディーゼル燃料の元になる菜種とか大豆が栽培されるフィールドがデカイもんですから、獲れる量も多いんですよね。なので基本的に生産する量も圧倒的に違いますし。あとアメリカですと、自宅で作ってらっしゃる方が結構多いですね。

鹿島 :あ、そうなんですか!? そんなに簡単に出来るものなんですか。

山田 :簡単って言っちゃうとあれですけど、基本的な原理は難しくないですから、ホームセンターみたいなところに行って、色んなパーツを持ってきて自分たちで組み上げて、だいたい3000ドルくらいで出来るって言ってましたけどね。

鹿島 :30万円くらい。

山田 :そうですね。それでやはり、ちょうどガソリンの値段が高騰していた時期でもあるので、みなさんそれに頭を抱えているもんですから、環境にも優しいってことだし自分の家庭でも作れるってことで、やっている方も結構いらっしゃいましたね。

鹿島 :まあいわゆる、天ぷらを揚げたりとか、揚げ物をやったあとのやつを貯めておいて。

山田 :それで、自分の住んでいる地域の中華レストランとか日本食レストランとか、ありますよね、メキシカンとか。そういうところと契約と言うか、まあよく食べに行って顔見知りなんでしょうね。定期的に取りに来るってことで。レストラン側も廃油を捨てるのにお金が掛かるもんですから、そういう意味で上手く協定を結んでやってる方は多かったですね。

鹿島 :地域密着型のエコロジー活動ですよね。

山田 :はい。ビックリしました。

鹿島 :一時期、キッチンで油をそのまま排水溝に流す、なんてニュースが流れたことがありましたよね、日本でも。そういう意味で言いますと、それを自宅やお知り合いのところで燃料化をして、しかもディーゼル仕様のエンジンを改造することなく使えるんですよね。そこがポイントですよね。

山田 :そうですね。

鹿島 :要は、それが足りない時には普通のディーゼル用の燃料を入れればいいってことですよね。

山田 :そういう風にやられている方もいらっしゃいますよね。

鹿島 :それは大きいですよね。




挑戦の旅は続く
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鹿島 :帰られたばかりでいらっしゃる山田さんに、こんな質問もどうなのかなと思いますけど、この一年の間に原油高騰の件もあり、このバイオディーゼル燃料をはじめとする新しいフューエルに対する、色んな社会の動きですとか考え方もだいぶ変わってきたり、より深く掘り下げるようになってきたと思うんですよね。そのあたり、世界を周りながら、空気として反響をどういう風に感じました?

山田 :バイオディーゼル燃料が、ガソリンスタンドで自分の身近に売っているところもあれば、全くバイオディーゼル燃料なんて聞いたことも無いところもありますので、結構、千差万別なところがありましたけど、まあバイオディーゼルで一番進んでいるっていうとヨーロッパ、特にドイツなんですけど、値段自体はバイオディーゼル燃料はレギュラーとか軽油よりも安い値段で売られているんですけど、ただそれは良いことずくめじゃないっていうニュースも出ているので。例えば食糧とのバッティングで、油をバイオディーゼル燃料に使うことによって、食糧の値段が高騰するっていうことで、マイナスの要因もあって。ちょっとバイオディーゼル燃料を普及しようとしている人たちにとっては、マイナスなんだよねっていう愚痴をこぼしている話も聞いたことがありますし。ロシアの方ではビックリしたのは、あそこは原油が結構でるんですね、あそこは。その割にはバイオディーゼル燃料にすごく興味があって、2012年にはたぶんロシアで最初のプラントが出来るんじゃないかっていう工場にも行って、色々とお話を聞いたんですけど、だからそういう意味ではいつか枯渇するだろうし、石油の問題とかCO2の問題もあるので、どの国の人も意外と、アフリカも行ったんですけど、みなさんすごくそのことに関しては意識が高くてビックリしたんですけどね。

鹿島 :実際に、色んな考え方ですとか最新の動きを肌で感じられて、4万7000キロ、17カ国を周って帰られて、これから山田さんは、来年はどんな活動を予定されているんですか。

山田 :4万7000キロほど走ったんですけど、まだまだテストを続けて行きたいですし、また、学んだこともいっぱいありますし。そして今作ったプラントに関しても、水を使わない方法で小型化できるっていうことをやったんですけど、さらにまだ改造する余地があるのかなということも感じていますので、来年はちょっと、今使ったものをちょっと修理したり改良して、日本を一周したいなと。色んな写真だとか得た情報がありますので、学校だとか興味がある方の前でそういったものをご紹介したりとかお話したいなと思ったのと、あとは世界一周が駆け足だったので、少しゆっくり景色を見たり、燃料を作りながら海を見てボーっとしたりとか(笑) あとは地元の方と何気ないお話をしながら、環境の問題も含めて色々と話が出来ればなと思っています。

鹿島 :いやあ、しかし本当にすごいですよね。非常に興味があることがありまして、個人的なものもあるんですけど、山田さんのランクルに積まれている小型プラント、これが非常に作りこみがキレイで、クルマ好きというか、僕なんかメカ好きにはたまらない、非常にキラキラする仕上がりだったりするんですけど、あれ、将来的に市販されたりっていうご予定は無いんですか?

山田 :よく「売ってくれ」とかいう話もあるんですけど、まあ作るのにほとんど家を出っ放しで、10ヶ月掛けて作ったものですから、まあ同じものをまた作るのは大変ですし、それが僕の仕事では無いので、聞かれれば仕組みはお伝えできるので、まあ自分で作って下さいっていう感じなんですけど(笑)。

鹿島 :先ほど、小型プラントを表現する際に、キレイなキラキラしたっていう言い方をしましたけど、キッチンの一部か? って思うくらいにキレイだったのが天ぷら油と直結しましてですね。やっぱり美味い料理を作る料理人のキッチンはキレイだ、みたいな。山田さんの荷台は美しいな〜っていう(笑)。

山田 :ああ、そういって頂けると嬉しいですね(笑)。

鹿島 :今でもあの状態ですか?

山田 :やはり使い込んでますので、いくつかレバーが折れたりとかはありますけど、基本的には毎日、手を合わせて拝むくらいに毎日磨いていたので、結構、キレイなまま帰って来れました。

鹿島 :いいですね〜。今度ぜひ、また見させて頂きたいと思ってます。また一年後もね、味が出ているかも知れませんね。

山田 :そうですね。

鹿島 :でも本当に素晴らしい活動をされていますので、また今度は、日本をじっくり周られた後に、ぜひ番組に来て頂いて、新たな改良点ですとか新しい出会いですとか、その辺を教えて頂けましたらと思います。本当にありがとうございました。

山田 :こちらこそ、ありがとうございました。




今週は、天ぷら油など使用済みの食用油を燃料に、
トヨタのランドクルーザーで一年をかけて世界一周を果たしたばかりです。
フォトジャーナリストでラリードライバーの山田周生さんをお迎えしました。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストをお迎えしてお送りします。
お楽しみに!




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