Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

 F1史上最年少チャンピオン誕生!

(11月9日放送)
高橋浩司

高橋浩司

(たかはしこうじ)

「F1速報」「月刊 F1レーシング」編集長を経て、モータージャーナリストとして活躍中。90年代初頭から、国内外で様々なカテゴリーのモータースポーツの取材を担当、膨大な知識と軽妙な語り口調でコメンテーターとしての人気も高い。2006年からはじまった東京お台場のビッグイベント「モータースポーツジャパン」の運営にも関わる。

1967年7月17日生。
北海道札幌市出身。

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は『F1速報』『月刊F1レーシング』の編集長を経て、モータージャーナリストとして活躍中の高橋浩司さんをお迎えします。お楽しみ下さい。


雨が強くなるのがあと30秒遅ければ・・・
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鹿島 :今週のゲストは、番組F1レギュラーコメンテーター、高橋浩司さんです。よろしくお願いします。

高橋 :よろしくお願いします。

鹿島 :F1ブラジルグランプリ、最終戦が先週の日曜日に行われまして、ルイス・ハミルトン、23歳のチャンピオンが誕生しました。

高橋 :そうですね。ご覧になった方はお分かりかと思いますけど、最終ラップの最後の最後で逆転チャンピオンという。もう歴史上まれに見るような劇的な展開でしたね。

鹿島 :背景を簡単にご説明しておきますと、マクラーレンというトップチームの23歳の若手、去年デビューした、まだルーキーといえるルイス・ハミルトンが、2位のフェラーリチームのベテランのフェリペ・マッサを7ポイント上回って、最終戦に突入しました。ただフェリペ・マッサも1位か2位に入って、ルイス・ハミルトンに何かがあればまだチャンピオンの可能性があって。一方のルイス・ハミルトンが5位以上に入れば、もうその場でチャンピオンが決まるということだったんです…が!

高橋 :はい。普通に考えれば7点リードしているわけですから余裕なんですけど、こういう時っていうのはやはり、追われるよりも追う立場のほうが強いんだなっていうのが、まず感じましたね。

鹿島 :雨が降ってきたタイミングが、スタートの本当に直前で、結局、路面が濡れてしまって、一旦は晴れ用のタイヤを履いていたんですけど、雨用のタイヤに交換するためにスタート時間が延びたりもありましたが、雨が降るとスピンをする確立が上がりますから、僕はテレビの前で見ていてよりドキドキしたって言いますかね。

高橋 :そうですね。

鹿島 :フェリペ・マッサは、今年もあるレースで雨が降ってきたとたんに何度もスピンをして、トップチームのフェラーリのドライバーとして、クエスチョンマークがジャーナリストの間で点灯して、色々と叩かれてましたよね。

高橋 :やはりチームメイトがライコネンという、去年のチャンピオンですし。それと比べられるという中で、まあ特にシーズン序盤はミスもあったりして、なかなかポイントが伸ばせなかったんですけど、これが最終戦までになんとかキャッチアップしたんですけど、やはり7点差を追いかける立場ということでしたよね。

鹿島 :そしてまあ、レースのほうはポールポジションから見事に優勝。ゴールした瞬間にはガッツポーズ、フェリペ・マッサの指が一本びゅんと立ってました「ナンバーワン」と。ピットのご家族もチャンピオンだと盛り上がったんですけど、実はそのあと・・・

高橋 :そうなんです。これはちょっと一瞬混乱してね、分からない状況もあったんですけど、レースの終盤、もうチェッカーを受ける数周前から、また雨が強くなってきたということで多くのチーム・ドライバーが、またドライタイヤからレインタイヤに交換したんですね。その時点でハミルトンはレインタイヤに交換した頃で順位を落としてしまうんです。というのも、ドライタイヤのまま頑張り続けようとしたマシンが、前のほうに居てしまったからなんですけども、この時点でその判断は、リスクを取るのかギャンブルに賭けるのか、やっぱり5位や6位を走っているドライバーはドライのまま行ったら表彰台も狙えるかも知れないと、当然そういう賭けに出るドライバーもいて、それはトヨタティモ・グロックだったりしたんですけど、彼が4位に上がったことでハミルトンは後ろに1つ下がった。そこでレインコンディションが得意な、トロロッソのセバスチャン・ベッテルに追いつかれて抜かれてしまったということで、マッサが優勝してハミルトンがそのままの順位だったら、チャンピオンはマッサ…という状況のまま、マッサはトップでチェッカーを受けた。その一瞬の後ですよね、確か。ドライタイヤのまま走り続けていたグロックが、最後の、コースの三分の一くらいですかね、また雨が激しくなってきてですね、全然走れないという状況になって。ハミルトンが最終コーナーの手前で一気にそれを抜いて、順位を1つ上げて、逆転チャンピオンを決めたと。その情報が上手く伝わらない一瞬の間、マッサもフェラーリのピットも大喜びしたんですけど、一瞬のうちに「ああ違う」「ハミルトンが前に行っちゃったんで、チャンピオンはハミルトンだ」ということで、今度はマクラーレンのピットが大いに湧いたと。そういう非常にドラマチックな展開でしたね。

鹿島 :もう、あと何百メートルの世界だったと思うんですけどね。

高橋 :雨が強くなるのがあと30秒遅ければとか。もう、「たら・れば」はいくらでもあるようなレースでしたね。




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23歳と300日、煌きは加速する。