Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

クルマの格闘技、マレーシアで灼熱の戦い!

(6月29日放送)

「スーパーGT」マレーシアラウンド

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は、先日マレーシアで行われました人気の自動車レース「スーパーGT」マレーシアラウンドのレポートをお届けします。お楽しみ下さい。


国内最大の観客動因を誇る人気の自動車レース、スーパーGTの第4戦が先週末にマレーシアで行われました。レクサスSC430、日産Z、ホンダNSX、フェラーリ、ポルシェなど、レース用にカスタマイズされたスポーツカーをトップドライバーが操って、ハイスピードバトルを展開するスーパーGT。ただでさえ“クルマの格闘技”と呼ばれるほどホットなんですが、今回の舞台は灼熱のマレーシアです。いつも以上に熱い戦いが行われました。今週は、現地レポートをお届けします。

スーパーGT第4戦が行われたのはF1グランプリで有名なセパンサーキット。空港からクルマでおよそ10分、クアラルンプール市内からおよそ40分のところにある、最新の設備が整った非常に美しいサーキットです。コースサイドにはグリーンの椰子の木があって、南国ムードも満載です。気温は30度以上、湿度は非常に高く、その暑さとの戦いが最も重要な要素といわれています。



 

 

レーサー 片岡龍也選手
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まずは、1週間前にル・マン24時間耐久レースに出場、今年は「宝山KRAFTレクサスSC430」を駆る、レーシングドライバーの片岡龍也選手にその厳しさについてお話を聞いてみました。

片岡龍也

鹿島 :5回目のマレーシア・セパンサーキットでのスーパーGTのレース。30度を越える気温の中でクルマを運転する、レーシングカーを運転するのは相当大変だと思うのですが。

片岡 :そうですね、まあ普通の人だと、30度を超える中でクルマを運転するっていうのは、それだけで暑いんですけど、まあだいたい車内の温度は60度を超える温度になっていて、さらにゆっくり走るわけじゃないですから。普通の方って、クルマを運転しているだけっていうイメージがあるんですけど、モータースポーツっていうだけあって心拍数が180を超える、時には200に近い。そういう状況で、さらに車内温度が60度付近で走るっていうのは、かなり想像を超えるものがあって、毎年、数人のドライバーがレース後に脱水症状で倒れてしまいますし、自分たちも走る前に水分をなるべくとってやるんですけど、その時の体調によってもすごく左右されるし。とにかくこのレースっていうのは本当にタフなので、速さだけじゃなくて、人間の暑さに対する強さみたいなものを求められるレースですね。


鹿島 :低温のサウナの中でずっと腕立て伏せをしているような感覚に近いって言った方もいるんですけど、どうですか。

片岡 :サウナって結構、湿気が少なくてアレなんですけど、実際にセパンって何がきついって、その気温にプラスして湿度が高いんですよ。湿度が高いと、体温を下げる機能を非常に妨げられる。皮膚にかいた汗が蒸発することによって体温を下げるのに、その蒸発を湿気が妨げちゃうので。だいたいレーシングスーツの中の湿度って100%に近いんですね。そういう中で、体温を下げられないっていうのが一番キツくて。だから本当にサウナで1時間腕立てしているのと、まあ例えると近いかも知れないですけど、僕はもっと過酷に感じます(笑)。

鹿島 :片岡選手はこれまでで、このマレーシアラウンドでもっとも悲惨な経験って言うのは? 暑さに関しまして。

片岡 :僕は運が良くて、今のところクールスーツが壊れたとか、そういうトラブルは無いんですけど、一度だけ、水が出なかったっていう時があって、その時はさすがに、自分が走る25周〜30周くらいなんですが、3分の2くらい過ぎたあたりからピットに入るまでっていうのは、意識こそ途切れなかったですけどかなり朦朧として。もう降りた後にしばらくは体温が下がらないんですよね。だから夜、布団に入ってもまだ体温が下がらないみたいな。変に汗かいちゃって。だからそういう意味では本当に水分の大切さも感じるし、ここで変に影響受けちゃうと次にも差し支えるので、まあここまで特に大きな事故もなく来ているので、今年も出来れば無事に走りきりたいと思います。
〜わりと淡々と語ってくれましたけどね、その内容はものすごいものがあります。

片岡選手のチームは予選11番手スタート、10位完走。貴重なポイントを獲得しました。

「PETRONAS TOYOTA TEAM TOM'S」関谷正徳監督
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レクサスSC430で常に上位争いを展開するトップチーム、「PETRONAS TOYOTA TEAM TOM'S」の関谷正徳監督に、監督の立場からのコメントを頂きました。

鹿島 :スーパーGTのマレーシア戦、気温30度を超える中での戦いで、クルマにとってもドライバーにとっても、チームのみなさんにとっても非常に厳しい戦いだと思うんですけど、このマレーシアならではの厳しさはどういったところでしょうか。

関谷 :まあ日本と違うのはとにかく暑い。一番きついのはドライバーだと思うんですね。もちろんエンジンは一律で全員がパワーが無くなるのでその点に関しては問題はないと思うんですけど、やはりドライバーが熱に関する体力の消耗、これが一番きついので、とりあえずクールスーツを機能させるっていうのが僕らの役目。それが機能しなくなるとドライバーはギブアップしてしまうので、それが絶対に壊れないっていう条件の下でレースをやっているのですけども。あとは冬の間でいいデータが取れているもんですから、タイヤに関する心配事はあまりないですね。ただ僕らがいま置かれている状況は、前3回の成績がちょっと良かったものですから、ウェイトを積まなくちゃいけないっていうのが非常に苦しい状況なんですけど。

関谷正徳監督

鹿島 :チームの全てのスタッフの方々にとって、このマレーシアの暑さっていうのは、いかがなんでしょうか。

関谷 :僕もそうなんですけど、ピットに立って、レース展開を色々見ているんですけど、やはり頭の働きが非常に鈍くなっているもんですから、その辺の判断をミスらないようにしたいな、という心配事はありますね。僕らも暑いのに慣れてないもんですから、判断がボケているもんですからね、あれ?いまどういう状況なんだっけ、という風に陥ってしまうことが、多々、過去にあるので。そういったところの判断を誤らないようにっていうことが一番ですかね。まあ頭をアイスノンで冷やしながらいくしかないのかな、と思ってますけど。



TOYOTA TEAM TOM’Sの関谷監督のお話でした。予選12番手から、スタートで一気に8番手に浮上。アンドレ・ロッテラー、脇阪寿一、両選手の頑張りで最終的には7位でゴール。ドライバーズポイントトップとの差を8ポイントに縮めました。現在ランキング2位です。ところで関谷監督の話にもありましたが、スーパーGTではバトルを面白くするための独特のルールで、活躍するとハンディとして重りを乗せなければいけません。今回は60キロものハンディを積んでの走行で7位。本当に素晴らしい結果でした。

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「スーパーGT」マレーシアラウンド