Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

メガデス時代、クルマのルールがあった。
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鹿島 :元メガデスのギタリストでいらっしゃるわけなんですけども、アメリカでのミュージシャン時代っていうのは、どんなカーライフだったんでしょうか。

マーティー :そうですねえ、とりあえずバンドの中ではみんなクルマで競争する。「俺のクルマのほうがカッコいいよ〜」と。

鹿島 :競争って、そっちですか(笑)。

マーティー :みんなすごいベンツが好きだった。ベンツはしょっちゅう新しいモデルが出るから、新しいベンツが出ると、買うのが早いメンバーがお得な感じ。「出たばっかりだから、買ったんだよ〜」って感じ。

鹿島 :なるほど。じゃあもう発売される前に、実際に実物は見ないでクルマを注文したりとか、そういう感じですか。

マーティー :いや…そこまでマニアックじゃないけど。やっぱりクルマに憧れているバンドでした。

鹿島 :僕のイメージでは、長〜いリムジンで、中に冷蔵庫を開けるとシャンパンが入っていたりとか、場合によってはゴルフのパターの練習場がついていたりとかプールがあったりとか。そういうクルマのイメージはありますよね。

マーティー :それはありますね。リムジンもありますし。バンドの中で、クルマはちょっとプライドのポイントでしたよね。他のやつって適当なクルマか、めちゃめちゃ高い豪華なクルマなんだけど、僕らはベンツ。ベンツもそういうイメージはあるけど、ベンツはなにより丈夫で、絶対に問題は無いし見た目もカッコいい。あと、典型的なスポーツカーじゃない? 普通のロックスターって。コルベットとかスポーツカー系のクルマが多いじゃない。でも僕らはみんなベンツで。強い、カッコいい、ちょっとお洒落。ちょっとバンドのイメージと同じだったんですね。

鹿島 :何かカスタマイズはしなかったんですか。例えばホイールとかタイヤとか。

マーティー :いや、それは絶対に禁止。

鹿島 :禁止!?

マーティー :禁止だったんですよ。

鹿島 :それはバンドの方針で。

マーティー :いや、バンドっていうか、みんなの意見は「これは完璧なものだから、僕らみたいな初心者が勝手に変えるなんて」と。美術品にヒゲを書くほどダメってこと。

鹿島 :なるほどね。

マーティー :僕はギターもそう。そのままの良いものがいい。

鹿島 :これはもう、メーカーが時間をかけて開発したものをリスペクトして、そのまま乗るという。なるほどね。今でもアメリカにはクルマをお持ちですか。

マーティー :1台。昔からの同じベンツ。でもあまり乗れないから全然古くならないよ、それ。

鹿島 :じゃあ走行距離も全然伸びないってやつですね。

マーティー :距離伸びないね。アメリカにいる時だけ使うからすごく便利。

鹿島 :どんなタイプですか。

マーティー :あのね、E320。

鹿島 :ああ〜っ、これはもしかして90年代くらいのやつですか。

マーティー :そうです。詳しいですね。

鹿島 :ライトの形が四角いやつですよね。

マーティー :詳しいですね(笑)。

鹿島 :これは名車って言われていますよね。素敵ですね。これは今でも人気ありますよね。

マーティー :そうですね。僕は94年だから、最後の年だった。でもやっぱりイメージとしてギャップがあって面白い。だって僕を見たら、絶対に派手なスポーツカーとか赤いフェラーリとか乗りそうな奴なんだけど。黒いベンツだとひょっとしたら医者とか弁護士さんとか。そのギャップが好きだった。いきなりお洒落さアップって感じで。

鹿島 :クルマを降りた瞬間に、「あ、ちょっと想像と違う人が降りてきた」みたいな。

マーティー :そうですね。彼女の両親に挨拶するんだったら、全然リスペクトされる。いきなりフェラーリで行ったら、なんか怖くなるじゃん。

鹿島 :少し嫌な感じになっちゃったりするんですかね。そういうのあるんですか

マーティー :ありますね。それだけじゃなくて、保険! 日本では分からないんだけど、向こうの保険ってクルマの種類も関係あるし、結婚しているかどうかも関係ある、そして仕事も関係ある。だから一番ヤバイのは僕。独身でちょっとお洒落なクルマで職業はロックミュージシャン。

鹿島 :フフフ。

マーティー :一番ヤバそうな奴。一番リスクが高いから、毎月かなり払っちゃったよ(笑)。

鹿島 :保険代でクルマ何台も買えたりしますよね。

マーティー :あのね、言ったら恥ずかしいほど高い。10万以上でした。

鹿島 :毎月ですか!?

マーティー :10万だよ!?

鹿島 :じゃあ100万円以上払っていた? 保険代で?

マーティー :はい。払いました。それはありえない。しかもそれプラス、僕はロスに住んでいたことがあったから、もし僕が田舎に住んでいたらそんなに高くない。でもそれはダブルパンチ、トリプルパンチ、クアドラプルパンチだよ! 職業・住んでいるところ・クルマの種類・・・あと何だっけ。

鹿島 :独身(笑)。

マーティー :独身(笑)もうね、ダブルのダブルパンチだった。

鹿島 :いや〜、でもすごいですね。その10万ずつがあれば本当に。

マーティー :もう1台買えた。





沈黙のクルマが欲しい。
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鹿島 :さて、色んなお話をお伺いしてきましたけど、今は日本ではクルマの運転はしていなくて、アメリカにメルセデスを置いていて、向こうに行った時には乗るというカーライフスタイルのようですが、何かこう、クルマにまつわる夢とか憧れとか、これからこんなものが欲しいとか、こういうクルマ社会がいいなとか、そういうお考えはないですか。

マーティー :あまり深くは考えていないですけど、一番大事なのは“防音”。

鹿島 :防音?

マーティー :クルマの外がいくらうるさくても、いくら速く走っていても、中は静かであること。なんでかというと、僕にとってクルマは一番ベストな音楽を聴く環境です。囲まれてるじゃん。だからすごく音楽が気持ちいい。だから本当に音楽にこだわる。だって例えばフォード・マスタングとかあるじゃん、最高にいいクルマなんだけどうるさいじゃん。コルベットのスティングレーとかうるさいじゃん。でもすっごい静かな防音の、沈黙のクルマがあったら最高にいいと思う。

鹿島 :あの、よく飛行機に乗りますと、機内誌でも宣伝していますけど、BOSEのヘッドフォンのシステム…

マーティー :使ってる。大好き! 使ったことあります?

鹿島 :あります。クワイエット・コンフォートでしたっけ。耳に当てるだけで音を吸収してくれて無音になるっていう。あれはよく眠れますよね。

マーティー :それは最高にいいよね。

鹿島 :ああいうシステムがクルマの内装についていればいいんじゃないんですかね。

マーティー :本当にいい! それは作って欲しいよ。まあクルマの無駄なノイズは欲しくないよね。モーターの音とか。

鹿島 :モーターの音は、さっきコルベットの話をされましたけど、あれはあえて音を聴かせてるクルマですよね。

マーティー :まあそれが欲しければいいんじゃない。それは楽しいじゃん。

鹿島 :僕は好きなんですよ、エンジン音。

マーティー :当然好きでしょ、だってレースやってるから。

鹿島 :でも色々と選べるといいですよね。スイッチのオンオフで選べると。

マーティー :ああ〜、それは面白い!

鹿島 :夜の2時くらいに、遅く帰ってきた時には中も静かになってマフラーの音も静かになって、昼間にみんなクルマで走っている時は中も音がしてっていうのもアリかも知れないですね。

マーティー :アリだと思いますね。できると嬉しい。でも一番気持ちいいのはクルマの中での音楽。実は自分の音楽はあんまり聴かないんですけど、クルマの中で大音量で、ああいい音だなあと勝手に自画自賛になっちゃいますね(笑)

鹿島 :きょうたまたまどっかの自動車関係の方が聴いていて、新しい防音システムの開発するきっかけになったりしたら面白いですね。

マーティー :面白いですね。

鹿島 :マーティー・フリードマン・エディションみたいなクルマが出たりして。

マーティー :お願いします(笑)。

鹿島 :フフフ。本当にありがとうございました。ぜひまたお越し下さい。

マーティー :喜んで。





今週はゲストに、クルマを愛してやまないアーティスト、
元メガデスのギタリストでNHKの英会話番組などテレビでも活躍中の
マーティー・フリードマンさんをお迎えしました。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストをお迎えしてお送りします。
お楽しみに!




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