Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

地獄に仏、砂漠に右京。
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鹿島 :あとは、色んなことがあったと思うんですけど。

桐島 :
エピソードとしては、なんだろうな…。色々あったんだよね。


鹿島 :バイクにまたがったまま寝たって聞いたんですけど?

桐島 :あ、そうなんですよ(笑)8日目に結局徹夜になっちゃって、まあ徹夜っていっても1時半くらいにビバークに着いたんですけど、そのあとメディカルに行って足を見てもらって、その後は食事を取って結局3時に寝て、次の日がまた早かったんですよ、朝が。だから2時間くらいしか寝られなくて。それで、次の朝起きて痛かったらやめようかなって思ってたら元気があったから、とりあえず痛み止めを飲んでレースをはじめたんですけど、その日はなんか気が抜けちゃったのか分かんないんだけど、なんかもう途中からすごい眠くなったんですよ。それでもう、うわー眠い眠いって思いながら、居眠りしかけたから(笑)そんなねえ、パリダカ出てて居眠り運転したらまずいと思って。

鹿島 :アハハ!

桐島 :ただね、問題が。バイクを止めて地面で寝っ転がっていると、主催者側が“事故を起こした”と思っちゃうの。そうするとヘリコプターが下りてきちゃうから。そういう状態を見せちゃうと「やめろ」とか言われちゃうの。

鹿島 :なるほどー!!

桐島 :
足を怪我した時も、もう夜中になってたから真後ろにずうっと主催者のトラックがいたんですよ。要するにリタイヤしたバイクを積み込むトラックがずっと後ろについてきてて、それで集中できなくて。そしてコケる度に「大丈夫? もうやめたほうがいいんじゃないの」って言ってくるの。


鹿島 :うわーっ

桐島 :それでヤバいと思って。それでも何度がやっていたら「悪いけど君、もう無理」って。「あと100km以上あるからリタイヤしなさい」って。いや絶対走れるって言い張って。そしたらその連中が「じゃあ分かったから、ちょっと休もう」って。「コカコーラとかあるから飲んで、ちょっと一瞬休んで」って言われて、まあそうだなって俺も思って。確かにずっとがむしゃらになってムキになってやってたから、ちょっと一服したら元気になったんですよ、30分くらい休んだら。それで、また行くわってバイク乗って100mくらい行ったらまたコケちゃって。

鹿島 :フフフ。

桐島 :ヤバいなーって思ったら、その時に運良くね、他のバイクが2台くらい転倒していて放心状態だったのね。で、そのまま俺はまた走り出したの。そしたら主催者のクルマはその転倒している2台をケアしないといけないから俺は逃げ切れたの、その主催者の車両から。

鹿島 :なるほど。ギリギリのところでしたね。

桐島 :そう、危なかった本当。だからそれの後の次の日だから、またバイクが倒れて寝てたりしたら「もうやめろ」って言われるだろうなと思って、立ったまま、バイクを立てたまま寝てたんですよ。フロントカウルに寄りかかって。それで15分くらい寝れたんですよ。もう頭の中がすごい状態になってて、寝てるんだか起きているんだか、どこにいるんだか分からない状態。そしたら突然クルマの音が聞こえて。その音が止まって。俺の真後ろにいるのは何だろう〜主催者が来ちゃったかな〜って思って、パッて見たら右京さんだった!

鹿島 :天ぷら油で出場の片山右京さんが!

桐島 :そうそう。そして右京さんが「大丈夫〜!?」とか言って。あ、すいません寝てましたって言ったら、笑ってくれて。それで「これでも使いな」って言って、“冷えピタ”をくれたの(笑)それがすごい嬉しくて。

鹿島 :アハハ! いやーっ、すごいですね!!

桐島 :それがすごい嬉しくて。だってわざわざレース中なのに、右京さんもね。天ぷら油とはいえちゃんとレースをしているわけだから。そんなレースをしている人がわざわざ止まってね、“冷えピタ”くれたってのがね。“冷えピタ”の広告塔になっちゃいましたね(笑)。

鹿島 :“冷えピタ”、効いたでしょうね。

桐島 :効きましたよ、目が覚めました。おかげさまで。

鹿島 :右京さんは、ローランド選手だって思ったんですかね。

桐島 :何度か挨拶をしにいってたんですよ。

鹿島 :じゃあ格好を見て。

桐島 :たぶん番号も分かってくれてたみたいで、すごい嬉しかったですね。

鹿島 :あと、立ったまま寝ているのはあんまりいないですからね。フフフ。なんとなく存在感があったんでしょうね。

桐島 :フフフ、笑ってましたね。最初は俺が怪我してうずくまっていると思ったみたいですよ。「痛そうにしてるなーと思ったら、寝てた」って(笑)。

鹿島 :ゴールしてから会ったんですか、右京さんに。

桐島 :会いましたよ。もうずっとその話でみんなで盛り上がって。バカにされましたね、「こいつ立って寝てた〜」って(笑)。

パリダカが教えてくれるもの
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鹿島 :
いやー、でも本当にこれ、色々なお話の数々ですけど、最後のゴール、最後のステージってとっても華やかじゃないですか。僕は海外の映像で見ましたけど、みんなで横一線にオートバイが並んで砂浜を駆けていくっていう。あれは壮観です。

桐島 :
あれはいいですね。あれが一番感動しましたね。なによりずっと乾いた砂丘をずっと走って、ゴールで海がね。はじめて乾いていないところに。やっぱり主催者の粋なところだと思うんですけど、やっぱあそこのラック・ローズの海岸を走るのはね。あれは…、いや、あれが本当に叶うとは正直思いませんでしたね。俺、本当に完走できると思ってなかったから。


鹿島 :3年前にこの番組にゲストで来てもらった時に、36歳の記念にオートバイのレースを昔からやりたかったんで一緒にやりませんかって。あれがきっかけでその年の7月、もてぎの耐久レースに一緒に出て。

桐島 :そうですよね。

鹿島 :あれから瞬く間に、もう今やバイクシーンの大御所になっちゃいましたね(笑)。

桐島 :違いますから。やめてください(笑)。

鹿島 :フフフ。誰もが本当に買えない、手に入れることが非常に困難なものを手に入れて、僕は本当に正直に思ったのは、全然違う人みたいです。

桐島 :いやいやいや、普通の人ですよ。

鹿島 :あのね、一皮むけたとかそんなんじゃなくて、ちょっと変な言い方かも知れないですけど、なんか神がかった感じが…。

桐島 :いやいや(笑)。

鹿島 :今後の写真とか、色々な仕事でも違った感性が生まれたんじゃないかな、なんて勝手に想像しています。

桐島 :うん。だけどね、諦めなくなるんじゃないかなって思います、色んなことを。パリダカを経験すると、なんでも簡単に思えちゃうっていうのがたぶんあると思うから、それはすごく今後の自分の仕事とか、色んな生活の面で生きていくんじゃないかなって思って。だから本当に、成せば成る、成さねば成らぬって言うけど、本当にそのとおりだなって思いましたね。

鹿島 :“扉”は開けてみないと始まらないんですね。

桐島 :本当にそうですね。僕はとにかく転びながらでもゴールしようって決めていたから。もちろん勝ちにいくっていうのもアリだと思うけど。レースだから。パリダカールラリーっていうのは。ただね、その中の半分以上の人は単純にゴールを目指している。そして実際に今回の出場者の270台中、完走できたのは130台で。だからそういうドラマがいっぱいあるんですよ、小さいドラマが。もちろん優勝目指している人たちの中にも色んなドラマがあるんだけど、ビリの人にはビリなりのドラマがあるから、そこがいいなと思って。サーキットとかだとレースって、1位の人しか取り上げられないじゃん。パリダカールはそうじゃないんですよね。そこが素敵だなと思いますよね。

鹿島 :いやー、本当に色んなお話をありがとうございました。聞き入っちゃいましたね。

桐島 :いえいえ。

鹿島 :本当にありがとうございました。またお越し下さい!

桐島 :はい、ありがとうございます。ども。

今週は、世界でもっとも過酷なラリー「ダカールラリー」に初挑戦。
見事完走を果たした、フォトグラファーの
桐島ローランドさんお迎えしました。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストをお迎えしてお送りします。
お楽しみに!




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