Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

果てしない砂漠が与えてくれたもの。

(3月4日放送)
桐島ローランド

桐島ローランド

ニューヨーク大学写真科卒業後、フォトグラファー、マルチクリエイターとして幅広いシーンで活躍中。
30歳の記念にオートバイで47都道府県を巡り、36歳の年、この番組がきっかけでレーサー鹿島と 共にオートバイ耐久レースにデビュー。
そして、ついに“夢のダカールラリー”へ初挑戦、見事に完走を果たした。

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは先週に引き続き、世界でもっとも過酷なラリー「ダカールラリー」に初挑戦。見事完走を果たした、フォトグラファーの桐島ローランドさんをお迎えします。お楽しみ下さい。


「カメラごとき」と思うほどの極限状態。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鹿島 :今週も、フォトグラファーの桐島ローランドさんです。パリダカならではのエピソードを今週も聞いていきたいと思います。

桐島 :よろしくお願いします。どうもどうも。

鹿島 :風呂っていうか、シャワーとかは毎日浴びられる環境なんですか。

桐島 :浴びようと思えば浴びられるんですけど、僕は夜に到着するわけじゃないですか。そうするとシャワーが冷たいんですよ。

鹿島 :かあーっ!

桐島 :昼は水が温まっているんですよ、太陽熱で。ポリタンクに入っている水が。アフリカだから、昼間は寒い場所でも20度くらいあるから水風呂でもガマンできますけど、夜は無理!

鹿島 :フフフ。

桐島 :夜の砂漠って寒いんですよ。

鹿島 :
風邪引いちゃいますね。

桐島 :はい。だからそうですね、シャワーは結局3回くらいしか入っていないかな。もうね、あんまり体臭とかね…

鹿島 :フフ、そういうの超越しちゃうような感じですか。

桐島 :全然、誰もね。あと色々あるんですけど、トイレの問題とかね。もう、みんなアレですよ、野生に戻りますね。

鹿島 :なるほどねー。ある意味人間の本能だけで走り続けているみたいな、そういう感じですか。

桐島 :それもありますよね。楽しいですよ、そういう意味では。…楽しくはないか(笑)。

鹿島 :目も鋭くなっているし。

桐島 :いや、だけどね、結構みんな放心状態ですよね。目もずっと開けっ放しですから、ビバーク着くとみんな“ダラ〜っ”って感じですよね、もう。

鹿島 :なるほどね。それくらい切り替えていかないと、乗っている時の緊張感が保てないのかも知れませんね。

桐島 :そうですね。もう着いたら何よりも寝たいって感じですからね。もう食事もしないで寝たいんだけど、食べないと次の日のエネルギーが蓄えられないから無理してでも食べてたね。

鹿島 :じゃあもう、食事は1回も抜かず。

桐島 :絶対に抜かなかったですね。朝メシもちゃんと。俺は朝ごはん食べない人なんだけど、やっぱりもう。ヨーグルトとか嫌いなんだけど食べてましたもん。

鹿島 :日々、例えば東京にいて写真を撮っている時って、まあ朝を抜いてもその日なんとかなるっていう世界。それは僕も分かるんですけど、これがパリダカやっていると、ここで食べておかないと今日の夜まで走れないっていうのが分かっちゃう感じですか。

桐島 :絶対にそうですね、エネルギーが無いと。もうホント、単純にちょっとしたチョコレートバーが1個ポケットにあって、それを食べるとエネルギーが充電できたっていう気になれちゃう。そこまで分かるから面白いですよ。

鹿島 :もうギリギリの状態ってことですよね、体が。

桐島 :そうですね。

鹿島 :撮影はしなかったんですか。

桐島 :あー、あのねえ、それがねえ…。ちょっと残念なことに、色々あって。

鹿島 :リアルな写真は?

桐島 :カメラが飛んでっちゃったんですよ。気がついたらポケットに入ってなかったんですよ。

鹿島 :えっ!? 当然持っていったわけですよね。

桐島 :持ってったんですよ。だからそれは僕のミスなんですけど。

鹿島 :「飛んでった」っていうのは、バッグから?

桐島 :ポケットにしまってたんですけど、たぶん転んだときに出ちゃって、もう転んだ時って放心状態だから、普段なら身の回りのチェックをするんだけど、すぐにバイクを起こして乗っていって。ほら、毎日何度も転倒しているから、途中からそういう細かいこと気にしなくなるじゃないすか。それで途中で写真撮ろうかなってポケットを見たら、あれっカメラが無い! みたいな(笑)。

鹿島 :うわー。それはどのあたりで?

桐島 :それが結構、最初の段階で(笑)。

鹿島 :アハハ! まあ初挑戦ですから。

桐島 :すいませーんって感じ。

鹿島 :それはヨーロッパラウンドじゃなくて?

桐島 :アフリカに入ってからですね。

鹿島 :誰かが拾っているかも知れませんよね。

桐島 :いやー、たぶん地元の子供が拾って大喜びじゃないですかね。

鹿島 :「桐島ローランドの写真だよ!」っていう感じではないでしょうね(笑)。

桐島 :アハハ! ないです! それが分かってたら怖いです(笑)。

鹿島 :でもすっごい写真が好きな子供さんで、半年後くらいに事務所に届いたりして。

桐島 :いやー、それだったら嬉しいですね。名前も何にも書いてなかったですから。

鹿島 :なるほど、色んなことがありますねー。商売道具が飛んでいくなんて経験は初めてじゃないですか。

桐島 :そうですね、ちょっと甘かったですね。本当にだから疲れているとね、もうどうでもいいやってなっちゃうんですよ。それは本当にもったいないんだけど、レース中は、まあしょうがねえやって。とりあえずゴールすることが一番大事だから。もう「カメラごとき!」ってなっちゃうから。

next page
地獄に仏、砂漠に右京。