Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

夢を実現する才能を持っていますか?

(1月21日放送)
田中実

田中実
(たなか みのる)

生年月日:1963年6月1日生
出身地:京都府京都市

1985年「FJ1600クラス」でレースデビュー。翌年、早くもチャンピオンを獲得し、87年からイギリスへ渡る。90年にはクリスチャン・フィッティパルディ、ミカ・ハッキネンのチームメイトとして「イギリスF3選手権」に参戦、3位表彰台を得る。帰国後「全日本F3000選手権」「全日本GT選手権」「スーパーGT」等で上位争いを展開する一方、FTRS(フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール)主任講師としても活躍。2006年秋、惜しまれながら現役を引退、今後の後進育成活動に多くのレース関係者が期待を寄せる。

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは1985年にレースデビュー、国内外のレースシーンで活躍後、昨年現役を引退。フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールの主任講師として若手育成に尽力されている田中実さんをお迎えします。お楽しみ下さい。


“スイッチ”が入ったものが勝ち残る!
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鹿島 :今週もゲストは田中実さんです。先週はイギリス時代のエピソードを中心にお伺いしたわけですけども、今週はいよいよフォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールの卒業生、それから若手レーサーのみなさんについて伺っていきたいと思います。実はこの番組でもここ数年間、いまヨーロッパで活躍しているフォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールの卒業生の…

田中 :ワル3人組ですね(笑)。

鹿島 :ワルなんですか(笑)日本人期待の若手3人組の!

田中 :すいません、言葉を間違えました(笑)期待の若手3人組ですね。

鹿島 :その今をお伝えしてきているわけですよ、この番組では。例えば中嶋一貴選手がウィリアムズのテストドライバーに起用されたですとか、平手晃平選手がトヨタF1のテストドライバーをしたですとか、小林可夢偉選手はなんとマカオグランプリのF3世界一決定戦の予選レースで優勝しましたですとか。

田中 :本当ですよね〜!

鹿島 :今を伝えているんですけど、田中実さんはフォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールの主任講師として、彼らがレーシングカートの世界からフォーミュラ・トヨタの世界に入ってきたころから、いわゆる教える人と学ぶ人っていう位置関係でずっと見てこられてみていますけれども。

田中 :おそらくそこが、僕の感覚はちょっと違ってですね。だからレーシングドライバーに必要な感性、例えばハンドルの切り方だとか。それを僕たちが教えることはおそらく出来ないですね。ですから例えばゴルフのスイングでも野球のバッティングでも同じだと思うんですけど、そこでの筋肉の動きを1つ1つ口に出して説明はできないですから。

鹿島 :
フフフ、なるほど。

田中 :僕の個人的な認識としては、その子が自分で持っている才能を最大限発揮できるようにするためにはどうしたらいいんだっていう。

鹿島 :環境を作っているわけですね。

田中 :そうです。

鹿島 :そこから、例えばですよ、ものすごくがむしゃらにやる人だったりとか感性の優れた人だったりとか、どんどんヒントを自分のものにしていって羽ばたいていく、そういった学校ですか。

田中 :まさにそうです。よくメディアの方から「FTRS(フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール)は、減点法ですか加点法ですか」という質問を受けることがあるんですね。要するに100点満点からどんどん減点していって一番ポイントの高かった人間が通るのか、逆に0点からポイントを重ねた人間が通るのか、どっちだって言われるんですけど、そんなんじゃ無くてですね、スイッチが入るか入らないかだけなんですよ。

鹿島 :フフフ。

田中 :もっと簡単に言えば。この子ならトヨタの未来を背負ってですね、世界へ行っても、もしくはチャンスをあげても答えてくれるんじゃないかなっていうスイッチが入る子は絶対そのスクールをパスしますし、スカラシップを取れますし。逆にポイントで言えば、色んな部分でポイントが高いとしてもスイッチが入らなければ落ちちゃうっていう。本当に簡単。みなさんが考えている以上に簡単なシステムですね。

鹿島 :フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールで、スカラシップを獲得してフォーミュラ・トヨタに。ドライバーとしてチームに入って参戦できる権利を獲得して、そこで活躍すると一つ上のF3でトライできる場所を与えられて、そこで活躍するともう次はF1のテストドライバーだったり。

田中 :そうですね。

鹿島 :ものすごく道が見えているわけですよね。

田中 :明確ですよねー。

鹿島 :明確ですよね。ただ! ものすごくイスが少ないですよね(笑)。

田中 :そうですかね? 毎年イスは2つ3つ…、まあFCJを入れればもう少しあるんですかね。まあ当然アンリミテッドにお金があって使うわけじゃなくて、決められた予算の中で最大限のことをする為に少しでもたくさんのイスは用意するんですが、ある程度限定されると。ただ今言われたように、レールっていう意味で言うと、例えば僕がすごいお金持ちで自分の息子が15歳になって、ゴーカートをやらせながら、フォーミュラ・トヨタに乗せてF3に乗せて、GP2に乗せてF1のテストで…ってなると最低でも10億円っていう費用が掛かるわけですよね。

鹿島 :ええ。

田中 :ですからレースっていうのは、昔の日本のレース創世記の時代から、どちらかというと裕福な方しか出来ないイメージがすごく強くて、僕たちの頃はバブルというものがあって。

鹿島 :経済的な環境がちょっと特殊だった。

田中 :特殊でしたね。その中だと僕みたいな全然お金が無い人間でも、チャンスを頂いてチャンスをモノにすることによって、本当に限られた一部の裕福な人たちにしか権利が無かったものに対して僕たちでも取れる権利が出てきて。いまはバブルではないですけど、レースっていうのが文化的に認知されてトヨタ自動車がF1に参戦するようになって。だったら若手の日本人で見たいじゃないですか。それは僕たちだけじゃなくてトヨタファン、そして日本の自動車関係の方みんなの意見だと思うんですが。そうすると企業のお金を使って、数は限られた人間ですけど、チャンスが与えられるという部分ですね。ということは、お金がいっぱいあってチャンスが100回あるとしますよね。でもお金があんまりなくて自分で一所懸命働いたお兄ちゃんにはチャンスは1回しかないわけですよ。でも100回やれば1回はパスすることはあっても、1回でパスすることはすごく難しい。

鹿島 :フフフ。

田中 :この格差がスクールですごく縮まったっていうのが僕の実感ですね。



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10億円分の努力とチャンスがそこに。