Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

僕から、次の世代へ!

(1月14日放送)
田中実

田中実
(たなか みのる)

生年月日:1963年6月1日生
出身地:京都府京都市

1985年「FJ1600クラス」でレースデビュー。翌年、早くもチャンピオンを獲得し、87年からイギリスへ渡る。90年にはクリスチャン・フィッティパルディ、ミカ・ハッキネンのチームメイトとして「イギリスF3選手権」に参戦、3位表彰台を得る。帰国後「全日本F3000選手権」「全日本GT選手権」「スーパーGT」等で上位争いを展開する一方、FTRS(フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール)主任講師としても活躍。2006年秋、惜しまれながら現役を引退、今後の後進育成活動に多くのレース関係者が期待を寄せる。

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは1985年にレースデビュー、国内外のレースシーンで活躍後、昨年現役を引退。フォーミュラ・トヨタ・レーシングスクールの主任講師として若手育成に尽力されている田中実さんをお迎えします。お楽しみ下さい。


“何か”を手に入れるために。
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鹿島 :今週のゲストは田中実さんです。

田中 :はい、こんにちわ!

鹿島 :2001年の秋にご出演頂いているんですけれども、あの時は“現役レーシングドライバーの田中実選手”という風にご紹介させてもらったんですけど。

田中 :そうですよねー。

鹿島 :昨年現役を引退されまして。現役は何年ですか?

田中 :レーシングカーに初めて乗ってからはシーズンで26年になると思うんですね。まあ実際にフルシーズンで参戦するようになって22年くらいですね。

鹿島 :あのー1986年に、FJ1600という、まあ野球に例えると甲子園みたいな。

田中 :あー、近いですねー。

鹿島 :
そこで勝ってプロへの道を掴んでいくという、まさに甲子園みたいなレース。当時ものすごく盛んで台数も多かった頃なんですけども。

田中 :70台とか80台が走ってましたよね。

鹿島 :そこでチャンピオンを取った翌年に、国内のF3に行くのかなと思いきやイキナリ海外に飛び出して行かれましたよね。

田中 :子供の頃からブルース・リーの映画を観れば、表の看板を蹴飛ばしているタイプですから。

鹿島 :フフフ。

田中 :マカオグランプリを観にいったことがすごい転機になったんですね、僕的にも。86Jという、ウェスト・レーシング・カーズが作っているFJで勝たして頂いて。まあ勝ちまくったことによってクルマがすごいたくさん売れたんですよ、FJのそのウェストさんのクルマが。そしたら社長がすごく気を良くされて「じゃあ慰安旅行で全員マカオのF3を観にいこう」って、タダで連れて行ってもらったんですよ。その次の年のことなんか全く考えてなくて、やったーFJでチャンピオン取れて良かったっていうレベルだったんですが、マカオで観たF3があまりにもセンセーショナルで。僕は山側で見ていたんですけど、絶対に自分がこの先ずうーっと日本でレースをやっていたって手に入らないなって思うものを彼らはもっていたんですよ。その走りの中でね。

鹿島 :ほお。

田中 :おそらく僕が日本でF3やって、F2、F3000でも手に入らないなって思える何”かがあってですね。これがすごく欲しいなと思って。欲しいなら奴らと同じステップを踏まないとおそらく手に入らないなと。じゃあイギリス行ってやったろうと。要はレースを始めた時と全く同じですね。見て感化されて、自分の延長線上にそれがあれば一つの目標になったんですが、それが自分の延長線上に無いわけですから、そこで路線を大きく変えて彼らと同じステップを踏むと。それで海外へ行こうという決意をして。なかなか行けなかったんですけどね、それでも。

鹿島 :うーん。その答えと言いますか、行った結果がマカオグランプリという世界中の猛者が集まる世界一決定戦の。まあ甲子園の世界大会みたいなレースですよね。そこで見た“何か”っていうのは実際に海外での活動の中で?

田中 :そうですね、向こうですとFJからフォーミュラ・フォードっていうレースが同格ですよね。そこで一所懸命フォーミュラ・フォードをやっているうちに、どんどんどんどん自分のものになってくるっていう実感はありましたよね。

鹿島 :具体的に言いますと、アグレッシブさみたいなことですか。

田中 :まあ言葉で言うとアグレッシブ。言葉で言うとですよ。でも…ちょっと違うんですよね。すごくルールのあるアグレッシブというか。例えば強引なことをしたら、もう一人が「ああ危ないからこの人轢いちゃおう」っていうんじゃなくて、強引なことをしているもの同士が飛ばずに走れる“何か”みたいなのがあるんですよね。そこがマカオグランプリですごく強烈に感じましたね。

鹿島 :これはまだまだ、色んな若手の選手が国内外で頑張っていますけども、それを完全にモノにしているっていう人はいないんですかね。

田中 :ヨーロッパに行った今までのたくさんの、今なんかですとFTRSの卒業生も3人行ってますけど、彼らも1年目・2年目にそれに気がついて、それを欲しいと思って手に入れた子たちが、やっぱりリザルトを残していると思いますよ。おそらくヨーロッパのレースは、僕の言っているその“何か”っていうものが無いと戦えないんで。それは年代・時代が変わろうが同じだと僕は思います。

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折れない心で単身イギリスへ。