Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。
芳賀

後悔は全くない
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鹿島 :実は僕、子供の頃といいますか中学校の頃に、30回くらい観たビデオ、映画で『汚れた英雄』。

芳賀 :はい。

鹿島 :っていうのがありましてね、あれって仙台のSUGOサーキットで、ヤマハのバイクが出てきて。

芳賀 :そうですね。

鹿島 :当時、草刈正雄さんがね。もうめちゃめちゃカッコいいわけですよ! で、あれは当時のヤマハのプロライダーだった平忠彦さんが吹き替えで乗っていたという。2人ともカッコいいんですよね。吹き替えいらないじゃんみたいな。あの映画のDVDが復刻で去年出たのご存知ですか。

芳賀 :あ、そうなんですか。

鹿島 :あれを買って、僕なんかはやっぱりああいう映画の影響を相当受けているんだなって思いましたけど、ただ、孤独ですよねえ、もの凄く。そういう孤独感みたいなものって現役時代どんな風に感じてました?

芳賀 :うーん、確かに凄い孤独でしたね。まあ弟もいますし、いい刺激をお互いに与え合って乗り越えていたような気がしますね。

鹿島 :そういう意味では、弟さんの芳賀紀行さんはライバルだったんですか、それともチームが違ってもチームメイトみたいな?

芳賀 :そうです、もちろんそうですね。変な話、弟がワールドグランプリに行ってるんですよ。

鹿島 :ええ。

芳賀 :そのワールドグランプリに行って走っている弟がヨーロッパから電話かけてきて、「おいちょっとお兄、スタートのやりかたが分からんのだけど」って(笑)

鹿島 :アハハ!

芳賀 :スタートのやり方分からないっていう話ですよ? ワールドグランプリ走る人間がスタートが分からないから教えてくれって。そんな風に普通に電話もらったりしましたからね。いやでもね、僕がヨーロッパだとか応援に行くじゃないですか、弟のレースに。いっつも結果が悪いんですよ(笑)

鹿島 :フフフ。何なんすかね。

芳賀 :だから絶対に行かないと思って。去年は行かなかったですよ、だから。

鹿島 :不思議ですね。

芳賀 :安心しきっちゃうんですかね、どうなんですかね。

鹿島 :まあでもね、4歳、5歳の頃から2人でやられているわけですから。今は本当に心も技術も遠くから支えているって感じですかね。

芳賀 :そうであったら嬉しいですね。そう思ってくれていたら。

鹿島 :ヤマハのレーシングチームのプロライダーとして活躍をしているときに、98年に事故にあわれまして。僕も、今現役でレースをやっていますけど、ちょうどアメリカのレースに挑戦するようになって、トップスピードが350km/hくらいで。

芳賀 :うん。

鹿島 :いわゆるもう、ちょっと滑ればすぐ壁なんですよね。それで一昨年クラッシュをしたんですけど、気がついたら壁に当たっていたっていう。ただ実際に本当にそういう経験をされている方になかなか本音の話を聞くことってないんですけど、どうですか、かなり葛藤があった中で今またバイクに乗られているんじゃないかなって想像するんですけど。

芳賀 :うーん・・・、まあ、そうですね。まあライダーとして、プロライダーとして乗っている時と、怪我したとき。生活自体は180度変わっちゃうし。180度変わった中で、みんなと同じようには出来ないし。どん底でしたよね。でもそこで救ってくれたのはやっぱり気持ちの部分が一番大きいんですけど、家族であったり友達であったり。だから僕は今こうしてしゃべれるのかなっていうのもあるんですけども。その中にはやっぱりバイクもあるし。

鹿島 :後悔みたいなものってないんですか。本当に幼少時代からバイクで・・・。

芳賀 :全く何も無いですよ。

鹿島 :レースを恨んだりとか。

芳賀 :全く何も無いです。むしろバイクに乗って、今も乗れて良かったなみたいな。怪我しても乗れて良かったって思うくらいですね。


恩返しのために、じっくりと進んでいく。
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鹿島 :何か最近はアレですか、キッズというか子供たちにオートバイの乗り方を教えていくような活動をされているというお話を聞いたんですけど。

芳賀 :そうですね。僕も弟も5歳、4歳から始めて、いい時間や環境を与えられたかなって、今でもすごく親に感謝しているんですけど。まあそれを子供に教えるんじゃなくて、その子供の親に教えていきたいなっていうのがあるんですよ。キッズスクールって言っててもキッズスクールには絶対親がついてくるじゃないですか。

鹿島 :そうですよね。

芳賀 :その親に教えたいんですよね。すごくいいものだと。オートバイがすごくいいツールになると。結局、親と子の会話が少ない、成り立たないってすごく多いと思うんですよね。そこを共通のもの、オートバイが親子の会話のツールになったらいいんじゃないかなって僕はすごく思うし、実際僕も親とはそういうオートバイを通じて会話が成り立つ部分もあるし、そういうものを教えて、教えてというか伝えていけたらなっていう感じですかね。

鹿島 :また今年は、新しいトライもされると聞いていますが。

芳賀 :オートバイのショップですね。モーターサイクルプロショップという形で、自分がヤマハレーシングチームでオートバイを開発してきた経験だとか知識、得たもの、それは僕の財産だと思うんですよね。怪我をしてオートバイに乗れなくなった今、ストリートを走るユーザーさんにフィードバックする、それが業界に対する恩返しなのかなって僕は思うんですよ。すごくいい時間、いい時を与えてくれたのはこのレース業界であって、得たばっかりで怪我したからバイバイじゃなくて、得たものがあるんだから、それは財産。その財産を今度は業界にフィードバックする、業界に恩返しするみたいな形ですかね。

鹿島 :オートバイシーンに。

芳賀 :うん。うまく言えないんですけど、うん。そういう仕事をね、真剣にちょっとやろうかなって思って。いま始めたところですね。

鹿島 :業界にっておっしゃいましたけど、やっぱり僕はいちバイク乗りとして、やっぱりヤマハのワークスライダーとしてあんな速度でコーナーを曲がったり、あんな孤独な戦いをしていた芳賀健輔さんに、例えば直接ショップでアドバイスを頂いたり、パーツを一緒にセレクトしてもらったりね。これはね、嬉しいですよ!

芳賀 :そうですかね、へへへ。

鹿島 :なかなか出来ないじゃないですか。相当、人脈がない限りはまず会えないわけですからね(笑)

芳賀 :うんうん。

鹿島 :これはいいですよね、本当に。

芳賀 :僕は地元が名古屋なのでね、名古屋でそういうモーターサイクルのチューニングだとかカスタム、レストアのショップをやっていこうかなと、考えています。

鹿島 :これはまた、ウェブサイト等がオープンしましたら情報下さい。

芳賀 :そうですね。

鹿島 :本当に色んな話を聞いてきましたけど、これからも色々と新しいことにトライされるでしょうから、またお越し下さい。ありがとうございました。

芳賀 :ありがとうございました。

今週のゲストは、元ヤマハレーシングチームのプロライダー、
現在もバイクを通じて様々な活動を行っている
芳賀健輔さんでした。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストをお迎えしてお送りします。
お楽しみに!



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