Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。
高橋浩司 2005年F1界のオモテとウラ


皇帝シューマッハの不振と若手の台頭
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鹿島 :これからF1に上がっていこうかという日本人の若手で注目している選手は?

高橋 :そうですねえ、まあ色々と、マカオグランプリ(F3世界一決定戦)とかも先日ありましたしね、うちのスタッフを派遣したりして見ているんですけど、フォーミュラ・ルノーを今年戦ってチャンピオンを取った小林可夢偉選手。トヨタが育成プロジェクトでずっと育ててきたドライバーなんですけど、彼は直接あんまり走りを観たことはないんですけど評価は高いですよね。これから期待大きいんじゃないですかね。

鹿島 :ちょうど今F1で活躍しているキミ・ライコネンも、このフォーミュラ・ルノーでチャンピオンを取って、いわゆるF3を乗らないで一気にF1までっていうパターンでしたしね。

高橋 :これからはやっぱりそういう傾向が強いのかなっていう気はします。サードドライバーっていう枠がありますから、若手は下位カテゴリーでのレースのキャリアはそこそこでも、F1の金曜日のテストドライブで経験を積んで、良ければ翌年デビューさせてもらえると。ちょっとステップアップの仕方が変わってきているのかなっていう気がしますね。一昔前だとやっぱり、F1に乗るドライバーっていうのは、色んな耐久レースに出たりフォーミュラ・ニッポンみたいにF3000クラスのレースを経験してF1にやってきたっていうドライバーがほとんどでしたけど、最近はもう早くから、若いうちからF1に慣れさせるっていう方向にどんどん切り替わってきているんじゃないですかね。

鹿島 :新しい世代のヒーロー登場の話もしてきましたけど、今年はF1界の皇帝ミハエル・シューマッハが全くと言っていいほど活躍のシーンが無かったですよね。

高橋 :ここ4年間ずっとチャンピオンを取り続けてきたシューマッハ、フェラーリが今年は大きくハズしてしまったと。まあ優勝は1回していますけれども、これが例のミシュランタイヤに関するゴタゴタがあってミシュランタイヤのチームが出なかったインディアナポリスのレースだけという状況ですからね。

鹿島 :アメリカグランプリって、6台しか走ってないですもんね。

高橋 :ブリジストンタイヤユーザー、つまりフェラーリの他にはジョーダンとミナルディだけしかいないというレースでしたね。

鹿島 :あのレースで勝ったのが、唯一のミハエル・シューマッハの今年の勝利って言うのが、本当に象徴的ですね。

高橋 :本当に信じられない現象ですよね。去年までの活躍を見ていると。シューマッハも37歳、毎年のように引退説がささやかれる年齢になってきましたし、あらゆるスポーツも37〜38歳っていうのは引き際を考える年でもありますし、そういう面で精神的なモチベーションが落ちてきたのかなっていうのは、今年パドックを歩いているシューマッハなんかを見ていて、若干オーラが減ったかな、なんて気は少ししてましたけどね。

鹿島 :でも来年は続投が決定しているわけで。

高橋 :来年はね、まだ契約が残っていますから。

鹿島 :もしかしたらですけど、最後のF1イヤーになるかも知れないですもんね。

高橋 :そういう可能性はあるでしょうね。ただ来年はフェラーリも復活すると思います。来年またタイヤを交換して良くなりますし、そういう意味ではミシュランが今年気づいたアドバンテージっていのはやはり減っていきますから、タイヤの面での問題が減ると。フェラーリとしても今年の成績でいいと思っているわけが無いので、かなり気合を入れた開発をしてくると思いますし、シューマッハも引退が近いとすればやっぱり最後の花道をちゃんと飾らせてあげたいって思うのが人情だと思いますんでね。

鹿島 :そうなってくると、キミ・ライコネンですとか今年チャンピオンを取ったフェルナンド・アロンソあたりのいわゆる若手と、シューマッハの最後のバトルみたいな。ここは注目したいですよね。

高橋 :そうなって欲しいですけどね。ただやっぱり一つ気になるとすれば、来年に向けてはエンジンのレギュレーションが変わってしまうこと。V8エンジンっていうのを開発した経験があるのはやっぱり日本のメーカーが強いですよね。アメリカのチャンプカーとかでV8をずいぶん苦労して開発してきましたから。フェラーリとかおそらくルノーにも無いんですよ、V8のノウハウが。その辺がどう出るか。あるいは日本勢がバンっと前に出て行く可能性っていうのもあるかなって思ってます。

鹿島 :でも過去のルール変更で、クルマを遅くする方向に持っていっても、なんだかんだでタイムは上がってきますよね。

高橋 :そうですね。ターボが禁止になった時以来の大きな変更だと思いますから。その後自然吸気が3.5になって、それが3リッターに減らされて、V10に制限されてっていう。徐々に制限がどんどん厳しくなっていくんですけど馬力はやっぱり数年で回復してきますから、ここから技術競争っていうのは激しくなってくると思いますね。

鹿島 :V8に関しては、トヨタをはじめ日本のメーカーがノウハウがあるってことですから、開幕からいきなり大活躍みたいなシーンも見られるかも知れませんね。

高橋 :かも知れないですね。それが楽しみだと思ってます。

鹿島 :2006年のF1は3月、バーレーンで開幕ですね。

高橋 :今年はオーストラリアが他の大きなスポーツの大会が開催できないということで、来年だけバーレーン開幕というちょっと変則的なスケジュールになりますけども、来年も19戦ですか。今年と同じ開催数がありますので忙しそうです。


来年も“最速”情報伝えます!
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鹿島 :高橋さんは編集長として『F1速報』、そして『F1 RACING』、2つのF1雑誌を手がけられているわけですけども、近いところですと何がいつ頃リリースされますか。

高橋 :『F1速報』としましては、来年1月14日あたりにトヨタさんが新車を発表すると思いますので、それを速報する号を1月19日に「テスト情報号」という形でまず第一弾を出したいと思ってます。『F1 RACING』も1月上旬に新年号が出ます。それで今編集部的には若干時間がある時期ですので、2001年から2005年までをまとめたシリーズものの『F1全史』の編集に取り掛かっています。これは1月の後半から2月くらいに発行しようかなと思っております。

鹿島 :F1が始まった頃からのいわゆる歴史を何年かごとにまとめて出している『F1全史』。

高橋 :もうF1の黎明期から最新の今年までという形で、5年ごとの編集をしているんですけども、それの最新刊が来年の上旬に出ます。

鹿島 :また来年もよろしくお願いします。

高橋 :よろしくお願いします。


今週のゲストは、『F1速報』、そして『F1 RACING』の編集長、
もうこの番組ではおなじみの高橋浩司さんでした。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストにお迎えしてお送りします。
お楽しみに!



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