Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

『F1速報』編集長が語る、事件の真相!

(6月26日放送)
高橋浩司 高橋浩司
(たかはしこうじ)

1991年、三栄書房へ入社。
「オートスポーツ」編集部(当時月2回刊)に配属となり、F1専門速報誌「アズ・エフ」の創刊をはじめ、国内外の レース/ラリー担当を歴任。「週刊オートスポーツ」の立ち上げ に携わった後、2002年より「F1速報」(ニューズ出版刊)の編集長。2005年より「月刊 F1レーシング」編集長を兼任。1967年7月17日生。北海道札幌市出身。


このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週は、先週のF1アメリカグランプリで起きた、7チーム14台のマシンがレースを棄権するというF1史上空前の事件について、『F1速報』『月刊F1レーシング』編集長、おなじみ高橋浩司さんに詳しく伺います。



14台が棄権の衝撃。その全容とは?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

鹿島 :F1レース決勝の4日後に発売されるF1雑誌『F1速報』、そして『月刊F1レーシング』編集長、高橋浩司さんです。よろしくお願いします。

高橋 :よろしくお願いします。

鹿島 :これまで何度もお越し頂いているわけですけど、今回のアメリカグランプリは大変なことが起きました。

高橋 :そうですね。我々も凄くびっくりしました。

鹿島 :史上最悪、14台のマシンが泣く泣く決勝レースを棄権。実際には、練習走行の時点からタイヤが持たないという・・・

高橋 :流れを説明しますと、アメリカグランプリは、インディ500が開催されるインディアナポリスのオーバルコースの一部とインフィールドを組み合わせてF1を開催しているという、ある意味特殊なサーキット。それで最終の2つのターンはインディ500でも見られるオーバルの外周路ですね。

鹿島 :いわゆる競輪場みたいな。

高橋 :そうですね。バンクのついた、非常にハイスピードのターン12、ターン13とあるんですけどね。そこを300km/h、340km/hくらいまでどんどん加速して走っていくという。まあF1の他のサーキットではちょっとありえないようなコースっていうのが前提としてありますね。それで金曜日のフリー走行1回目は問題無く行われたんですが、2回目のフリー走行が始まった時、トヨタのリカルド・ゾンタ選手のタイヤがパンクしてコースアウトしたと。その後に同じトヨタのラルフ・シューマッハがターン13という300km/hを超すスピードでバンクを走るコーナーでタイヤのトラブルがあってクラッシュ、壁に激突してラルフ・シューマッハはその時点でドクターストップ。出場を見合わせるということになったんですね。なぜこのタイヤトラブルが起きたかというと、非常に高速でバンクのついた所を走ると、普通のフラットなコースだと横方向にある一定のダウンフォースを受けて縦の力も加わるんですが横方向に動く力が非常に大きいような構造になっているんですが、今回バンクを走るということで縦方向の力が入る。それに横方向も当然入りますし、路面が今年から改修されたということもありまして、その辺のデータ不足もあったのかも知れないですけど、非常に微妙な凹凸で、専門用語で言うとスタンディングウェーブ現象という、タイヤのショルダーの部分が非常に細かいたわみを発生して内部構造が傷んでしまう。そういう症状が現れていたんではないかと言われていますね。

鹿島 :各チームの様子はどうだったんですか。

高橋 :金曜日、トヨタはタイヤに起因するトラブルだったので、わりと事態は深刻だとに受け止めて、土曜日の朝に開かれたチームオーナーミーティングで、冨田代表が他のチームに対してもミシュランに対しても非常に危険であるということをアピールして、ターン13の手前にシケイン、いわゆる減速区間を設けてはいかがだろうかという話をしたらしいんです。でもその時点ではあまり意に介されなかったというかね。他のチームでは…

鹿島 :まだそんなことになるとは思ってなかったんですかね。

高橋 :うん。思ってなかったと。そういう所があるんですが、土曜日の予選前のフリー走行なんかも通じて、平行してタイヤを各チームで調べてみたらやっぱり構造にクラックが入っていたりという症状が他のチームでも見つかってきたということで、「こりゃ大変な事態だぞ」という風になってきたのが予選前くらいですね。それでその日から日曜日の決勝にかけてFIA、ミシュランユーザーのチーム、他のチーム含めて色んなミーティングを行っていたんですが、色んな案が結局決勝スタートのスターティンググリッドにつく10分くらい前までゴチャゴチャとやっていて。

鹿島 :うわあー…

高橋 :我々も状況を把握し切れなかった部分もあるんですけど、最終的にミシュランを使うチームは、連続して10周以上走るとタイヤの構造の欠陥があり安全が保証できないというミシュランの立場にのっとって、フォーメーションラップには出走しますと、ただしフォーメーションラップから直接ピットに帰ってきて、見た目はボイコットですけれども。

鹿島 :泣く泣く棄権ですよね。

高橋 :そうですね。これはもう安全上の理由で、政治的な調整もつかなかったということで棄権という形をとったんですね。それでブリジストンユーザーのフェラーリとジョーダンとミナルディの3チーム6台だけがスターティンググリッドについてレースを行ったと。こういう流れですね。



next page
どうなる? これからのグランプリ