Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

女性だけのラリー、2年連続完走!

(5月29日放送)
野口友莉 野口友莉
(のぐち ゆり)

パリ在住ジャーナリスト。
1967年4月26日、東京生まれ。

大学卒業後に入社した企業でF-1チームや映画製作の広報として従事する傍ら、映画関係の執筆活動を開始。ジョニー・デップやジョン・トラボルタなどこれまで70名以上の映画スターや監督にインタビュー。1997年日本映画ペンクラブ会員に。1998年、単身渡仏。2001年、フランス外務省が発行するプレスカードを取得。自動車や映画関係を中心に日本の雑誌や新聞、サイト、ラジオ向けにフランス発でレポート。取材の場を欧州全体へ広げつつある。渡仏以降、ルマン24時間やパリ・ダカールなど国際レース時に欧州チームで日本人向けプレス担当者として活動することも。2005年4月にはモロッコの砂漠を8日間、2500kmを走破するという女性だけが参加できる“ラリー・アイシャ・デ・ガゼル”にチーム「カステルアラナ」として2度目の参戦を果たし、完走。

*ラリー・アイシャ・デ・ガゼル
www.rallyeaichadesgazelles.com
* 「HALANA」
http://www.hp.casteljapan.co.jp/public/halana/enter.html

<媒体例>
「Marie Claire Japon」「GQ Japan」「Tipo」「NAVI」「カーグラフィック」「4×4MAGAZINE」「CG別冊」「報知新聞」「東京中日スポーツ」「TV Bros」「Movie Gong」「BS fan」「フジサンケイ・ビジネスI」各種劇場用映画プログラムetc.

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、F1チームや映画の広報として活躍する一方で、映画のライターとして執筆活動をスタート。98年にフランスへ、2001年にはフランス外務省が発行するプレスカードを取得。クルマや映画関係を中心にライターとしてワールドワイドに活躍されている野口友莉さんをお迎えします。お楽しみ下さい。



美しい景色と恐怖の連続。
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鹿島 :今週のゲストは野口友莉さんです。よろしくお願いします。

野口 :よろしくお願い致します。

鹿島 :クルマや映画関係を中心にライターとして活躍されているわけですが、実は先日この番組に出演して頂いた自動車ライターの丸茂(亜希子)さんと一緒に、女性だけが出場出来るモロッコの砂漠を8日間、およそ2500kmを走破する『ガゼルラリー(正式名称:ラリー・アイシャ・デ・ガゼル)』にこの春2度目の挑戦。無事に完走して日本に帰ってきたばかりです。

野口 :そうです、ハイ。

鹿島 :非常にタフなラリー。去年は初年度ということで色々と大変だったようですが、去年を振り返ってみるといかがですか?

野口 :去年はとにかく大変でした。まず初日、1つもチェックポイントを見つけることが出来なかったんですね。10時間砂漠の中でさまよいまして。このラリーは実はGPSの使用が禁止なんです。とにかく1日目はそういう状態で終わりました。それで2日目は気分を入れ替えてスタートしようとしたところ、砂地でジャンプしてクルマが大破しまして。私も顎を切ってドクターがヘリで駆けつけるみたいな、そういう状況になりました。

鹿島 :大変でしたね。

野口 :その後もクルマが修理等々で2日目もチェックポイントが1つも発見できなかったと。そしてついに3日目のお昼くらいに初めてチェックポイントを見つけまして、2人で大泣きしました。そのくらい去年は大変でした。

鹿島 :それだけのご苦労をされながら、またこの春も同じ大会に挑まれたというのは、なにか「どうしてももう1回やりたい」というお気持ちがあったということですか?

野口 :そうですね。もう終わった直後です。というのも、一日一日向上はしていくわけですね。「今日これを失敗したら明日に生かそう、明日に…明日に…」と言っているうちに終わってしまったわけですよ。そうなると自動的に「来年に ! 」ということで、本当にゴールした直後に翌年のことを考えました。

鹿島 :うわー。その時はまだ、怪我ですとか体の痛みもあったでしょうに。

野口 :そうですね。でもそれを吹き飛ばすだけのすごい魅力に溢れたラリーでした。

鹿島 :去年、印象に残っているシーンはどんなシーンですか?

野口 :とにかく景色が素晴らしいんですね。日本にいると砂漠って見たことがないわけですよ。初めて砂丘に行った時に現実のものとしてたらえづらいんですね。

鹿島 :え?

野口 :まるで、スターウォーズのように映画のワンシーンの中に自分が入ったような、そんな感覚に浸れると申しますか、包まれるんですね。

鹿島 :これは行ってみないと分からない例えですね。写真で見てもたぶん違うんでしょうね。

野口 :違いますね。

鹿島 :そこに立って初めて分かるようなことですか。

野口 :はい。写真でも綺麗なんですが、それが360度パノラマになるんです。しかも何台もクルマが出場していて、地平線が見えるようなところにいるにも関わらず、自分たちしかいないわけですよ。そういうことがよくあるんですね。とても美しい景色なんですが、夕方になってきますと今度はだんだん恐怖が始まってくるんですね。というのは砂漠の夜っていうのは怖いんですよ。

鹿島 :まず寒そうですよね。

野口 :ええ。12〜13度まで気温は落ちます。本当に光が無いんです。クルマのライトをつけても10m〜20m先しか見えなくてですね、走っていると突然ラクダが目の前に立っていたりとか、突然ヤギの群れの中にいたり段差があったりとか。本当に恐怖との戦い。そういう落差というか色んな体験をしました。


「急がば回れ」の大切さ。
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鹿島 :今年は2度目の挑戦ということで、準備期間も昨年よりはあったでしょうし、精神的な部分でも違った景色が見えたんじゃないかと勝手に想像はしているんですけど、2年目のチャレンジはどうでしたか?

野口 :そうですね。やはりスタートする段階で気持ち的には余裕がありましたよね。

鹿島 :競技者、ラリーのアスリートとして、今年はこの部分はずば抜けて成長したなって、走っていて肌で感じることは無かったですか。

野口 :例えば砂丘。去年はもちろん必死でした。砂丘を走行する時は非常に集中力や緊張感が必要なんですが、今年はそんな中でもドライビングを楽しんでいる自分がいたんですよね。

鹿島 :上手くクリアしていくと「今日は乗れてるな」みたいな。

野口 :砂丘を越えるといっても色んな形の山があるんですよ。山の部分が丸いものもあれば尖っているものもあるんですね。風によって稜線が尖っている。もちろん越えるには丸いタイプよりも尖っているほうが難しいですよね。しかも一番上でスタックするのが一番最悪なパターンなわけですよ。

鹿島 :もしかしてクルマのお腹のところが引っかかったり?

野口 :はい。そうなると結局タイヤ4つが浮いた状態になりますから。もちろん砂なので掻けば落ちますけど、2人だけですと1時間はスコップと戦わないといけないわけですよ。なのでそこではまず止まらないようにする。例えば尖っている砂地の場合、一気に行ける場合もありますが、あまりに角度があった場合は反対側は見えません。あまりに急な場合は危険なんです。そこで今年はセオリーとして頭に入れていたことが、一回で乗り越えようとするのではなく、まず前輪で稜線の尖っている部分を崩すんですよ。崩してもう一回バックで戻ってから越えていく。例えばそういうことを考えながら運転できるようになったというのは、自分の中で成長したなと思います。

鹿島 :急がば回れ、石橋を叩いていこうみたいな(笑)。

野口 :フフフ。やはり昨年マシンが飛んで怪我もしましたので、そういった所はなるべく慎重に。攻めますが攻めるだけじゃなくて…

鹿島 :ガマンも大切ってことですね。

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プロにもアマにも、砂嵐は平等に吹き荒れる。