Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

全てはバイブル『POPEYE』から始まった!

(5月15日放送)
熊井昌広 『POPEYE』編集長
熊井昌広
(kumai masahiro)

1960年7月生まれ。大学卒業後、出版社(現アシェット婦人画報)へ。「メンズクラブ」誌に携わる。92年にマガジンハウスに転籍。「ガリバー」「ポパイ」「アンアン」などを経て、03年より現職。スーパーカーブームまっただ中に中学生時代を過ごし、社会人3年めに購入したミニ1000でエンスー生活を開始。ロータス・ヨーロッパ〜ジネッタG4〜ミニ1300クーパーなど英国ライトウエイト車にハマる。家族グルマは7年前に10万円(!)で手に入れた89年型シトロエンBX。2005-2006日本カーオブザイヤー実行委員。

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、1976年の創刊以来、若者のライフスタイル誌として一世を風靡。そして今年1月、ファッション誌としてリニューアルしたあの『POPEYE』編集長の熊井昌広さんをお迎えします。お楽しみ下さい。



陸サーファーとサザンの時代。
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鹿島 :今週のゲストは、『POPEYE』編集長の熊井昌広さんです。よろしくお願いします。

熊井 :よろしくお願いします。

鹿島 :1976年に『POPEYE』が創刊、僕はまさにその世代でして、特に年上の姉妹が数人いたので家にはいつも色んな雑誌や漫画があったんですが、その中のひとつが『POPEYE』。これを読みながら、なんか西海岸の香りっていいなあっていつも感じていたのを思い出しています。熊井さんご自身もまさに元々は読者ですか?

熊井 :ええ。この出版業界に入りたいと思った一番の理由が、『POPEYE』に触れたからっていうのが嘘偽りのない理由なんですね。とにかく『POPEYE』が好きで読みまくっていて、それで運良く『POPEYE』に入れたのは不思議なんですけどね。クルマに関しても『POPEYE』でかなり読み込んだ記憶もあります。

鹿島 :今年の1月からは若者のファッション誌としてリニューアルスタートを切っているわけなんですが、70年代の頃は『POPEYE』とクルマっていうのは切っても切り離せない関係にあったと思いますし、なんといっても印象に残っているのは、サーフィンをしていないお兄さんたちがサーフィンの板をクルマに積んでいるっていう、このムーブメントを作ったのは『POPEYE』ですよね。

熊井 :まあ『POPEYE』かどうかはアレなんですけどね(笑)。いわゆる陸サーファーですよね。僕は今年45歳になるんですが、80年代初頭の大学生の時は、まさに陸サーファーがそこらじゅうにいましたね。排気ガスで汚れて全然使っていないと思われるサーフボードを積んで、タウン&カントリーとかゴッデスとかライトニングボルトとかね、ファーラーのパンツ履いてデッキシューズ履いた大学生がいっぱいいましたよね。

鹿島 :人によってはアレですもんね。ラックとボードがボルトで固定されていたという…。ところで、その頃クルマの中ではどんな音楽だったんですかね。

熊井 :サザンオールスターズだと思うんですよ、やっぱり。特にサザンがデビューした直後ぐらい。あるいはユーミン全盛ですよね。

鹿島 :そうですねー…。とりあえず中央高速走りますよね。

熊井 :ですよね。学生時代はクルマの中でさんざん聴いた覚えがありますね。

鹿島 :その当時はクルマっていうのは必須アイテムだったと思うんですよ。何をするにもまずクルマという。だから18歳になったら免許をとって、如何にしてクルマを手に入れるかという。そういう時代と今ではだいぶ変わってきていますよね。

熊井 :そうですね。80年代くらいまでって、クルマって強力なアイテムでしたよね。

鹿島 :強力でしたね。

熊井 :例えば女の子を誘うにしても、友達と遊びに行くにしても、本当に欠くべかざる強力なアイテム、キラーアイテムだったと思いますね。それが今はちょっと変わってきているっていうのは事実ですよね。

鹿島 :何をきっかけに変わったんですか?

熊井 :うーん、どうなんでしょう。まあ80年代、マニュアル化された遊びやデートは『POPEYE』なんかでもかなり特集を何度もしましたけどね。マニュアルにのっとった中でクルマが大きな位置を占めていたんですが、今はマニュアルが崩壊しちゃっていて、例えば今の『POPEYE』の読者の20代の若者の男の子たちっていうのは、小っちゃい頃からワンボックスにボードを積んで海に一緒に連れて行ってもらった子たちがゴロゴロいると思うんですよね。そういう人たちにとって一から始めるマニュアルって全く意味がない。むしろ当たり前の中に、どれだけクルマを含めてセンスが良いかどうか。そういったところでかなり僅差の勝負をしているような気がするんですよね。


このクルマはイケてるのか?
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鹿島 :『POPEYE』の中にも、クルマを紹介といいますかクルマにまつわるコーナーがありますが、その紹介してらっしゃる方を含め、味が違いますよね。

熊井 :そうですね。クルマの専門誌に出ていただくような方は『POPEYE』には全く出てこないんですね。むしろ音楽プロデューサーの方とかスタイリストの方とか、ファッション系の人にクルマのページに出ていただいているんですが、特に1月から『POPEYE』で連載しているクルマのページでは藤原ヒロシさんという、いわゆる音楽プロデューサーでファッションのカリスマの方に毎月クルマを一台斬って頂いているんですね。藤原ヒロシさんに解説していただく一番のポイントっていうのは、見た目のクルマのデザインから入っていただいている。

鹿島 :スペックではなく。

熊井 :そうです。“クルマの専門誌がクルマを斬る”切り口とは全然違う、見た目のカタチです。“今月のクルマのデザイン”という切り口で藤原さんには登場していただいています。見た目から入るクルマのページなんです。いわゆるファッションアイテムとしてのクルマなんですよね。要するに、このクルマを持っていることでセンスはイケているのか悪いのか、判断基準になる。そういう観点でクルマを考えています。

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レトロな皮を被ったイマ車。