Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

レースの“ふるさと”が帰ってきた。

(4月24日放送)
島田久光

富士スピードウェイ取締役社長

島田久光

(しまだ ひさみつ)

1943年7月18日 東京都出身。
1966年慶應義塾大学工学部を卒業後、トヨタ自動車工業へ入社。
輸出部、第8技術部、ニューヨーク事務部(T.C.U.S.A)等を経て、91年トヨタ自動車・事業開発部エアロ事業企画室室長へ。
93年〜米国トヨタ副社長。2000〜トヨタ自動車・モータースポーツ部主査。


このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、1年半の大改修工事を終えて、この春グレードアップしてリニューアルオープンしたモータースポーツの聖地、富士スピードウェイの島田久光社長をお迎えします。お楽しみ下さい。



富士スピードウェイへの思い入れ。
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鹿島 :世界のモーターシーンが注目する、新生富士スピードウェイの取締役社長の島田久光さんをお迎えしました。よろしくお願いします。

島田 :よろしく。

鹿島 :島田社長は富士スピードウェイの代表、社長であるわけですけれども、クルマ好きでレースファンとしても相当だというウワサがありまして。

島田 :えっへっへっへ。

鹿島 :誰も真実は知らないようなのですが、昔はレースをやられてたんですよね?

島田 :はい。学生時代から、トヨタ自動車にたまたま入っていったわけですけども、レースでちょっと走っていました。

鹿島 :どんなクルマでいつごろ?

島田 :実際に乗った車両はトヨタスポーツ800と、トヨタ2000GTなんです。

鹿島 :うわあーっ、名車ですね。

島田 :いやいや、結果的にはあまり成績がよくなくてですね。まあ一番いい成績だったのが1970年の2000GT。これが富士の1000kmレースだったんですが、クラス2位というタイトルをもらいましたですけどね(笑)

鹿島 :素晴らしい。そういった意味では本当に富士スピードウェイには思い入れがもの凄くあるのでは?

島田 :ええ。そのころはもう一所懸命走っているだけで、まさかここで自分が将来働くとは思いませんでした。ハハハハ!

鹿島 :今回デザイナーには、現在サーキットデザイナーの中でトレンドセッター的なヘルマン・ティルケ氏を起用。例えばマレーシアのセパン・サーキットもティルケ氏のデザインです。起用に至った経緯とは?

島田 :まあ色んな改修の仕方があったんですよ。ただ外側のペンキを塗るだけでも改修だし、路面だけでも改修です。そんな中でFIAの“グレード1”というのが非常に細かい仕様で、それをガイドラインにするのが一番明確であるということで、それをターゲットにしました。それに伴って、それなら“グレード1”の設計基準をよく理解している人は誰かということで、ティルケさんにお世話になることになりました。

鹿島 :FIAはF1を統括する団体。“グレード1”とは言ってみれば“F1を開催するための資格”です。

島田 :そういうことですね。

鹿島 :この規定はどれくらい細かいんですか?

島田 :これはかなり細かいです。路面で言いますと、平坦性に関しては4mの長さでプラスマイナス3mm以内。それ以上の凹凸があってはいけない。結果的に私たちは1mmくらいのカバーを舗装会社にお願いしました。

鹿島 :富士スピードウェイと言いますと、私も何度も古いコースでレースをさせてもらっています。ストレートが約1.5kmありまして、そこを全開で駆け抜けていく。それは走るほうも醍醐味だし、観ているギャラリーの皆さんもドキドキするポイントだったんですが、今回のコースはそのメインストレートの長さ、あのハイスピードの雰囲気を残しながら、かなり後半セクションが改修されてテクニカルになりましたよね。

島田 :1.5kmの直線というのは残してありますし、基本的にはヘアピンや各複合R(コーナー)は残しているんです。それで最終コーナーだけ一番大きく変えました。これには色々な目的があるんですが、直線に入っていく初速度を下げたいということ。あとはテクニカルのT10、ターンテンと言われるところですが、そこは一番低い地点なんですね。直線に向かって登っていくことになるもんですから上り坂を走るクルマのエンジンのパワーを見ることができる。ドライバーもステアリングを右左へ操作性も色々できる。観ている人も山の上からだと全部見えるわけですね。そういう観点からだいぶ改修しました。

鹿島 :リニューアル後に行って思ったんですが、色んなところの見通しが良くなりました。例えばパドック、ピットのチームの皆さんがいるエリアから第1コーナーの入り口、真ん中、出口、それから新しいコカコーラ・コーナー、それから100R。その辺までずーっと見渡せますからね。バトルを目で追いかけられるという。これは素晴らしいですよね。

島田 :はい。まだそれでもなかなか見えないところは、オーロラビジョンと称する大型画面でカバーしようと思っています。




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サーキットがホールで、排気音は楽器だ。