Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

涙があふれて、ファインダーを覗けない。

(1月23日放送)
小林稔 小林稔

(こばやし みのる)

1955年生まれ。日本大学芸術学部写真学科を卒業後、自動車専門誌「CAR GRAPHIC」の社員カメラマンとして8年勤務。独立後は自動車専門誌や一般誌の新車試乗記、メーカーのカタログなどアウトドア、スタジオを問わずクルマとモータースポーツの写真を撮り続ける。
現在、Formula Nippon、全日本GT選手権のオフィシャル・フォトグラファーを務め、ルマン24時間レースなど国内外で年間20レース以上を撮影する。フォルクスワーゲン専門誌「Breeze」のフォトディレクターを務めるかたわら、写真雑誌CAPAの「流し撮りGP」の審査も担当している。日本レース写真家協会(JRPA)副会長。

http://mk.motoring.jp

このコーナでは、レース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは先週に引き続きまして、レースの写真を撮り続けて27年。『CAR GRAPHIC』のカメラマンを経て、国内外を飛び回る熱きベテランカメラマン、小林稔さんをお迎えしてお送りします。お楽しみ下さい。



抱き合い、泣いた、伝統のル・マン。
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鹿島 :今週のゲストは先週に引き続きまして、小林稔さんです。よろしくお願いします。

小林 :よろしくお願い致します。

鹿島 :ベテランカメラマン。まあベテランでありながら本当に“熱きカメラマン”。というのは本当に小林さんはサーキットで、時に写真を撮るのを忘れて涙を流しているシーンを見たこともあります。

小林 :フフフフ…。最近よく言われて。特に去年のあることがあってからは特に言われて。あんまり言われたくないんですけど。

鹿島 :あることっていうのは何ですか?

小林 :ル・マンだったんですけど。

鹿島 :ル・マン。この番組にも優勝した後にそのドライバーのうちの1人、荒聖治選手が来てくれました。日本人では(関谷正徳選手に続く)2人目のル・マンの優勝者。偉大なる仕事を成し遂げた後に来てもらったんですけどね。では現地に?

小林 :はい。荒選手とはもう、デビューのころ、ツーリングカーをやってるころ、彼が18歳のころから。

鹿島 :と言いますと、彼が高校生レーサーだった、フォルクスワーゲンのレースをやっていたころから?

小林 :はい。あのころから写真を撮ったりしていて、大変仲良くしていまして。いやー本当に今までレースを撮っていて、これほどまで感激したことはなかったですし。今でもそのシーンを思い出すと、ちょっと来ちゃうんですよね。

鹿島 :今、ちょっと来かかっていますもんね。その時は大丈夫だったんですか? ファインダーがよく見えなくて撮れなかったなんてことは?

小林 :いや、ゴールした時は夢中で撮っていましたけど、表彰式あたりからやっぱり来ましたねー。

鹿島 :フフフフ。

小林 :あのポディウムにね、自分のよく知っている荒聖治が乗っているわけですよ! これはもう、とんでもない感激でした。なんかこう、夢心地と言うか。それはもう自分で撮っていても雲の上に乗っているような。

鹿島 :ル・マンの表彰式というのは独特で、ものすごく高いところに表彰台がありますよね。それでドライバーたちが表彰されている背中から見たショットっていうのは、30万人くらいの人たちが・・・。

小林 :そうですね。

鹿島 :あれはもう、千葉のほうでやるGLAYのコンサートよりも多いと、ある時見て思ったんですよ。変な表現ですが、あんな感じですよね?

小林 :そうですね。もう大観衆がコースにおりてきてね。

鹿島 :しかもみんな向かってきていますからね、表彰台に。

小林 :そうそう。あの下で24時間戦ったドライバー達を本当に祝福してくれますから。そういうところもまた、余計に感激するわけですね。

鹿島 :その時は、どこからカメラを構えたんですか?

小林 :僕は、2階のピットの上に部屋があるんですけど、そこをうまく確保してなるべく高い位置で、同じ目線で撮れるように上から撮ってましたね。

鹿島 :89年に初めてル・マンに取材に行かれて、昨年、ずっと応援していた選手の優勝で締めくくる…15年間の間にひとつの区切りみたいなものを感じたんじゃないですか?

小林 :本当に長い間ル・マンに行っていて、簡単に勝てないってことをわかっていたので、そこで勝ったことの素晴らしさ、すごさは日に日に感じてくるというか。今でも、彼らはすごいことをしたんだなって思いますし。だから優勝記者会見を終わったあと、初めて荒選手と言葉を交わしたんですけど、その時の感激ってなかったですね。男同士で抱き合うのもなんなんですけど、そういう気持ちになりますよね。それでだんだんと、抱きしめた手に力が入っていくのが今でも憶えてます。その時に荒選手が言ったのが「勝っちゃいましたよ!」

鹿島 :小林さんは何て言ったんですか?

小林 :いやもう、何て言ったんだろうな〜。ただただ感激していただけですね。

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