Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。
石見周 年に一度、レジェンドが生まれる日。



まわれ!まわれ!グルグル回れ!
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鹿島 :ドライバーともいろいろなお付き合いがあると思うんですけど、今活躍しているドライバーで特に印象に残っている人は?

石見 :僕が今一番印象に残っているのは、やんちゃ坊主のモントーヤ(現F1ドライバー)です。見た目は荒削りっぽいやつだけど、話していると、とてもおもしろいです。ラテンの血が流れているなあと思いますね。彼は絶対引かない。自分の中にそういう血が流れているんでしょうね。一番最初に出てきた時に、もてぎでマイケル・アンドレッティを吹っ飛ばしたりとかね。「俺が何をしたんだ。悪いのはお前だろう」と言い返すところが、シューマッハに対抗できるすべを持っている遺伝があるのでしょうね。

鹿島 :F1に行ったあとも、何度かシューマッハに後ろから激突して、前が遅すぎるぐらいの雰囲気をかもし出していましたね。

石見 :絶対に自分のエクスキューズはしないわけよ。取材をするとよく答えてくれるしイイ奴ですよ。いま現役のドライバーでいうと、シャイでみんなが取っ付きがたがっているサム・ホーニッシュJr。今シーズン、昨年までのパンサーからトップチームのペンスキーに移籍して、始めは違う人と話している感じだったけど、こっちから話をするといろいろなことを答えてくれる。変わっちゃったところは、今まではヒゲをはやしたりとか、ちょっと荒削りっぽい風貌だったのだけど、それがどうやらトップチームのペンスキーではドライバーにもいろいろ制約があるみたいです。

鹿島 :それはコース上以外も、ですか?

石見 :あるみたいです。要はヒゲをはやしてはいけない。“ペンスキーのドライバーたるもの紳士であれ”ですね。それと、家族の出入り禁止です。普通アメリカってアットホームで、わぁーとみんなが集まっていますよね。それが、なんていうのでしょうか。“ここは、男の仕事場”ここを離れた時は構わないがピットには連れてくるなと。

鹿島 :ははあ。

石見 :そんな感じで、当初は借りてきた猫状態でした。これでパフォーマンスが出るのかなと思ったら、いきなり初戦でペンスキー同士の争いで、最終ラップのぶち抜き方とかを見ると、やっぱりすごいドライバーだなと。彼が一番オーバルの走り方、グルーブ(ライン取り)の使い方が上手いです。魔術師だなと思いました。

鹿島 :なぜなんでしょう?

石見 :なぜなんでしょうね。それを聞いてみても、「いや、ただ走るから」と言われるだけなんですけどね。彼はハイラインも通れるし、ミディアムもローラインも通れます。どこからでもこれる。だからどこを抑えたらいいのかわからないです。

鹿島 :お父さんが、何か特殊な育て方をしたんですかね。

石見 :オーバルコースが速いドライバーは、ミジェットカー…舗装した路面をドリフトでドリドリで走るクルマなんですけど、そういうので鍛えられていますからね。オーバルコース特有の不安感というのが他のドライバーに比べて少ないんだろうね。

鹿島 :オーバルコース。楕円形のコースというのは、日本だとなかなか馴染みがなくて、栃木県の茂木にあるだけです。みなさんがよくご存知なのは競輪場ですね。よく、「競輪っぽいですよね」って言われるのですが、おっしゃる通りです。特有の駆け引きもありますし、似ていますよね。

石見 :同じですよ。自転車の世界と同じで、最後までパワーをとっておくためにドラフティングを使うわけです。後ろに付いて空気抵抗を減らして自分のエネルギーをとっておいて、ここが勝負だという時に、ブワァーと競輪でいう“まくり”をするわけです。クルマも後ろに付いていますと燃費もよくなるし、アクセルをずっとフルに踏まなくてもいいわけですから。そういう部分で走るというのがひとつの技だし、ベテランドライバーであるほど技の使い方がわかっていますからね。

鹿島 :そういう意味では、アメリカで小さいころからグルグル回っていたドライバーというのは違いますね。

石見 :全然違います。





40万の人垣の中を疾走する!
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鹿島 :インディ500。5月30日が決勝。観客数がハンパじゃなくて、ロジャー安川選手は、昨年初めて出た時に、余りににも人が多すぎてどこを見ていいのかわからなくなって、観客側を手で隠して1周走ったと冗談みたいなことを言っていました。

石見 :あのね、40万人って理解できないと思うんだけど、要はスタンドにみんながバーッと座ると人垣に見えるのよ。あの、流鏑馬で馬を走らせますよね。その時、両側が人垣になっていますよね。あのもっと巨大な何十万人バージョンのやつが、コースを1周埋め尽くしているんです。あれはドライバーだったら、あのフィールドを、あのトラックを走ったら病み付きになると思う。

鹿島 :いつかはインディと言われるゆえんですね。

石見 :鹿島さんもこれだけは、絶対やったほうがいい!

鹿島 :やりたいですね。インディ500。ドライバーにとってはものすごく特殊な意味を持つレースだと思んです。

石見 :上手くいけば賞金が2ミリオン、2億円ですからね。

鹿島 :そして栄冠をつかんだドライバーは、生涯、息子さんお孫さんにいたるまで称えられるような雰囲気がありますよね。

石見 :もうアメリカの全米ネットに載っかって、そのウィークは誰よりも有名人になるわけですから。あのカップに顔と名前が入るんです。それで2勝以上すると、サーキット内にスィートルームまで作ってもらえるからね。例えば、鹿島さんが優勝したら、鹿島スィートを作ってもらえますから。そういうレジェンドに向かって、日本人のドライバー3名には頑張ってもらいたいなと思います。

鹿島 :応援しながら、観ているみなさんも体感してほしいですね。

石見 :そうですね。

鹿島 :石見さん、お忙しい中ありがとうございました。またお越し下さい。

石見 :はい、呼んで下さい。ありがとうございますした。






今週のゲストは、レース取材歴22年。
1年間にアメリカと日本を30往復し、
アメリカ最高峰の自動車レース、
IRL=インディカーシリーズをフルカバー。
テレビの解説でもお馴染みのモーター
ジャーナリスト、石見周さんでした。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストの方を
お迎えしてお送りいたします。
どうぞお楽しみに!!



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