Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

能はライブだ! 実践派ジャーナリストの心意気。

(5月9日放送)
石見周

石見周
(おおくら しょうのすけ)

能楽囃子大倉流大鼓
重要無形文化財保持者

大倉流15世宗家、故・大倉長十郎の長男(大倉家は室町時代より650年続く能楽囃子「大鼓・小鼓」の家)。当初は小鼓方として父より稽古を受ける。8歳で初舞台を踏み、その後、17歳で大鼓に転向。大鼓方としての能舞台の活動はもとより、自身で主催する能公演や、薪能、各種公演の企画制作、国内外のインタージャンルのアーティストとのライブパフォーマンス活動、幼稚園から大学までの教育機関での講演・ワークショップ活動など、大鼓という日本古来からの伝統打楽器を通じて幅広いジャンルを縦横無尽に横断しながら、伝統文化の伝承と秘めた可能性を追究。世界に向けて日本文化の素晴らしさを発信しているアーティスト、文化プロデューサーである。

■公式サイト:http://www.hiten-jp.com/

このコーナーでは、車を愛してやまない各界の有名人をゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなど、その人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、室町時代から650年続く能楽囃子、大倉流の担い手。伝統的な能の世界で活躍する一方で、ローマ法皇に招かれてのバチカン宮殿内でのコンサートやニューヨーク・メトロポリタン美術館での公演、そしてこの1月には、スイス・ダボスで行われた世界経済会議でも演奏。国境、文化を越えた活動をされている重要無形文化財保持者で、バイク、クルマをこよなく愛する大倉正之助さんです。どうぞお楽しみください。


重要無形文化財保持者で、札付きの不良。
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鹿島 :今週のゲストは大倉正之助さんです。よろしくお願いします。

大倉 :こんばんは。よろしくお願いします。

鹿島 :重要無形文化財保持者。今まで、大型自動二輪免許や普通免許をお持ちの方は何人もお越しいただいているのですが、重要無形文化財保持者の方は初めてです。緊張してます。

大倉 :あっ、そうですか。どうもです。

鹿島 :能楽は、室町時代から650年続いているということなのですが、そのスタイルはほとんど変わっていないんですか?

大倉 :まったく変わっていないかといったら、そうじゃないんです。使っている楽器や舞台の基本的な構造は踏襲していますけど、室町時代はもっとフレシキブルな感じですね。今の形に厳然と固まったのは江戸時代、江戸式楽としてですね。江戸時代に幕府の式楽、つまり公式な式典において、式典としての能が非常に名誉職的な位置づけをもらったことによって、今日の能の形というものを厳然と固めたというのがありますね。よきにつけ悪しきにつけね。

鹿島 :と言いますと、650年前に始まったころというのはどんな感じだったんですか?

大倉 :かなりその当時のアバンギャルドというか、前衛的なものであったと言えると思います。当時、能は本当にポピュラーといいますか、それができた時代というのは、能の源流というものが日本全国にあったわけですよ。

鹿島 :大倉正之助さんの大倉流は650年前から続いているわけですけど、お父様が何代目ですか?

大倉 :父は15代目ですね。たまたまそういう家に生まれ落ちたというかね。その割には出来が悪いんです。ヘヘヘ。不良なのですよ。

鹿島 :ハハハ。不良という言葉は何かいいですね。

大倉 :まったくそうですよ。ホントに札付きでございますから。

鹿島 :ハハハ。能楽囃子。今日楽器をお持ちいただいたのですが、これはなんという?

大倉 :これはいわゆる、“鼓”という日本独自の打楽器ですね。鼓には大小ありまして、私がやっているのは大鼓、大きいほうなのです。“おおかわ”とも言います。皮革の「かわ」。鼓は、大小のものが対になって演奏するんですね。みなさんは小鼓のほうを、鼓、鼓と言いますから、大きい鼓を“かわ”という言い方でわけたりしています。“おおかわ”は、鼓という楽器の大きいほうということですね。

鹿島 :ぜひ、演奏をお願いします。

大倉 :「三番三(さんばそう)」というお祝いの曲をやりましょう。「翁」という能があるんです。老人の能面を見たことがありますか? ヒゲをたくわえて笑っているおじいさんです。あれが「翁」の面、能面なんです。当時、70歳とか80歳とか90歳なんて、そんなに長生きできる人はいないわけですよ。その歳ですと、もうほとんど神の域に達しているわけです。そういう老人を敬老するというかね。演者が舞台で不思議な呪文を唱えながらつけるのです。

鹿島 :はい。

大倉 :それで神がかりをして、天下泰平、国土安泰。つまり世の中の平和とか人々の幸せとか、五穀豊穣とか、そんなことをのたまうわけですよ。それがひとつの祈祷的な演能なんです。神事に近い芸能の一番原点みたいなものです。その中に「三番三」というのがありまして、その一節を大鼓の独奏という形でやります。これは私のオリジナル。非常に珍しい、大鼓単独でやります。お聞きください。




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