Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。
桃井和馬 僕らには、もっと見るべきものがある!



風はささやいていた。
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鹿島 :この写真集『破壊される大地』の中に、ブルドーザーでなぎ倒された森、ボリビアのアマゾン源流の空撮があります。これもショッキングな写真ですね。大きな木がペチャンコになっています。

桃井 :僕は元々フォトジャーナリストですから、戦争とか紛争を若い時は追っかけていました。言ってみれば、それが僕たちの仕事の花形ですから。だけど1992年ブラジルで環境サミットというのが開かれたんですね。そのサミットが開かれる前に、僕は4ヶ月ぐらいかけて、アマゾンを源流までボートで旅したんです。その時に見た破壊の凄まじさ。ちょっと待て、僕らはもっと見るべきものがあるのではないか?と気づいたのです。それ以降ずっと地球の環境を追いかけています。

鹿島 :なぜこんなにブルドーザーで木がなぎ倒されてしまっているんですか?

桃井 :簡単な話です。気候と木の構造の違いです。温帯だと木は根っこをずっと下に伸ばすんです。だから横からの力に強いんですね。でも熱帯の場合は、腐葉土というか、栄養のある土というのが地上から5pぐらいしかないんです。上の方だけなんです。ですから根っこは横に伸びるでしょう。そうすると横の力にもの凄く弱くて、簡単にブルドーザーで倒されてしまうんです。

鹿島 :何のために倒しているんですか?

桃井 :農場にするためです。倒せばすぐに農場にできますでしょう。

鹿島 :これだけの木が倒れてしまって農場になったはいいが、木がないことで弊害なんかも出てきているんでしょうね。

桃井 :熱帯の土は地上5pぐらいにしか栄養のあるところはありません。そこが剥がれてしまえば、赤土がむき出しになるんですね。赤土が出るとその土地は死んじゃいます。こういうことが世界中で起きているわけです。それがきちんと伝えられていないんです。僕はどうにかして、本当に小さな力ですけど、それを伝えていく仕事を続けたいと思っています。

鹿島 :この本は、岩波書店から昨年12月に出版されています。“岩波フォト・ドキュメンタリー 世界の戦場から『破壊される大地』”。

桃井 :この本の一番最後のところの文章をね、これを読んでいただきたいんです。

鹿島 :「風はささやいていた」

桃井 :自然の声を聴く耳。それを人間が失ってしまったんじゃないかな。





今、守るべきもの。
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桃井 :僕は20年ぐらいずっと、どうしたらいいんだろうという疑問を抱えながら歩いていました。ある時アメリカインディアンの一番偉い首長に会って言われました。「桃井よ、あんたに世界のことを変えてもらわなくて結構だ。あんたに世界のことを思ってもらわなくて結構だ。お前は世界中を回っているそうだけど、日本で自分の家族は大切にしているのか。自分の地域を大切にしているのか。世界を変えるというのは実はそういうことなのだよ」と。ガーンときましたね。僕は今まで、一番遠いところで世界を変えようとしていたのだと。実は変えるべきものは身近にあったんだとね。

鹿島 :はい。

桃井 :それで、今住んでいる多摩で、ひとつのプロジェクトを始めました。今一番問題なのは何だろう?と考えた時に、ニュータウンの中でもそうなんですが、人と人が出会わないんですよ。隣に住んでいる人が誰かも知らないような状況です。その中でどうやって人と人が出会うのか?

鹿島 :どうやって出会うんですか?

桃井 :夢を共有するんです。多摩からひとつのシンボルとして若者を1人選んで、世界一周の旅に送り出そうというのです。選考も終わりまして、4月4日に船に乗って世界一周の旅に出るんです。ピースボートというNGOの船旅を利用します。それで乗船料として、140万円ぐらい必要なわけなんですね。

鹿島 :これをみなさんで出すんですね。

桃井 :集めようと、パンフレット、書類を作って、こういうことをやりたいんですけど1人1万円お願いしますと回りました。昨年の10月から始めたんですけど、これが集まりません。2003年12月末で集まっていた金額が7万円です。20分の1です。これはどうしようかなと考えました。僕が代表ですから、最後のところでは責任を持たなければならないという話になっていました。出航は4月4日と決まっている。選考会もやり始めて10人ぐらいの若者が応募してきているわけです。彼らの期待を裏切らないためにも、絶対に行かなきゃならないですよ。

鹿島 :はい。

桃井 :いろいろなところに回って挨拶をして、お願いをしました。多摩市教育委員会の後援も得ました。それが取れたことで一気に140万円が集まってきました。

鹿島 :本当によかったですね。ホッとしました。

桃井 :よかったです。これはインターネットで、「PPT(Peace Project@Tama)」とありますから見て下さい。こういうプロジェクトが日本中で始まってくれればうれしいですね。これを始めてみようという人には無料で僕らのデータを全部公開します。人と人が地域で出会うことによって、いろいろなことが変わります。いろいろなことができます。そのプロジェクトだと思っています。

鹿島 :共感された方がいましたら、番組サイトを見ていただいてそこからサイトに飛んでいって下さい。2週に渡ってお越しいただきましてありがとうございました。

桃井 :どうも。ありがとうございました。


桃井さんが最近力を入れている地元多摩のページ
http://www.e-mb1.com/ppt/200403top.htm






2週に渡ってのゲストは、世界を舞台に平和を願って
シャッターを切り続ける気鋭のフォトジャーナリスト、
桃井和馬さんをお迎えしてお送りいたしました。

ドライバーズサロン!
来週も素敵なゲストの方をお迎えしてお送りいたします。
どうぞお楽しみに!!



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