Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

僕らには、もっと見るべきものがある!

(3月28日放送)
桃井和馬 桃井和馬

(ももい かずま)

山口県生まれ。
フォトジャーナリストとして、常に平和を訴え、現在文明のあり方などを世界各地から自らの写真・文章を通して伝え続けている。 平凡杜の第32回「太陽賞」を受賞するなど作品も多数。 最近では、地元多摩でNPO活動にも精力的に取り組んでいる。 若い頃はカーレーサーを目指したという大のクルマ好きでもある。

このコーナーではレース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなどその人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは先週に引続きまして、世界を舞台に平和を願ってシャッターを切り続ける気鋭のフォトジャーナリスト、桃井和馬さんです。どうぞお楽しみください。


国土の8割から森林が消えた。
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鹿島 :今週もゲストは、桃井和馬さんです。よろしくお願いします。

桃井 :どうも。よろしくお願いします。

鹿島 :今週は、これまでに出版されました本や写真集をお持ちいただきました。昨年12月に出版された『破壊される大地』。これは、表紙がモノクロームです。

桃井 :環境が壊されると、なぜ戦争につながるんだろう。実は戦争というのは、究極の形、最終的な結果でしかないんですよ。戦争が生まれるまでには、必ず長いプロセスがあるんです。その中で、社会が疲弊して最後の形として戦争が起きるわけです。今、疲弊する原因の大きなものに環境破壊があるのです。この本は僕がそれらを回ってきて取材してきたものです。

鹿島 :はい。

桃井 :例えばアフリカの真ん中あたりに、小さなルワンダという国があります。そこで1994年に、3ヶ月、100日の間に100万人が殺されるという事件が起きたわけです。つまり1日に1万人の人が殺されたわけです。その原因を探っていくと、みんな喰えなかった。虐殺が始まる2〜3年前から飢餓の状態がずっと続いていたのです。その飢餓の状態を作ったのは、環境破壊です。

鹿島 :具体的にはどういう破壊なのですか?

桃井 :ルワンダという国は、“千の丘がある国”といわれているように、丘の急斜面にできた国です。そこで木を切ってしまったのです。そうすると土が流れてしまって、それまで畑があったところの畑の土までもが流れてしまったんです。実は木というのは土を斜面に置いておく、止めている役割もあるのです。それがなくなってしまったものですから、どんどんはげ山ができてしまって、最終的には畑が耕せなくなってしまったんです。それで食べるものがなくなってしまった。おなかが空くと人はイライラしますよね。そこに囁く人が出てきた。「あいつが悪いんだ。お前らがお腹が空いているのはあいつらが原因だ」。それで一気に社会で火が上がってしまったということです。

鹿島 :怖いですね。

桃井 :昔のように小さい規模で畑を作っているのだったら、まだ平気だった。でも畑がひとつできたら、もう少し広いのがほしい。もっともっと広いのがほしい。それでどんどん畑が大きくなって、逆に木が少なくなってしまった。最後は自分で自分の首を絞めるようなことになったしまったわけですね。

鹿島 :ルワンダの写真が掲載されています。そのキャプションで、“国土の8割から森林が消えた。残っているのは成長しきらない幼木だけ。それも煮炊きのために切り出されている。”とあります。

桃井 :そうそう。8割がなくなってしまってね、今残っている木は、直径が10pか20pぐらいしかないんです。直径が1mぐらいに育つ木ですよ。1mに育てば、根を張って土を止めておくんだけども、それがなくなってしまったので土の侵食が始まるわけですね。

鹿島 :これを元に戻すとなると、相当なことをしないと難しいような状態ですか?

桃井 :そうですね。でも戻すしかないんです。人間は戻すしかないのです。戻さないと、どんどん紛争が起きるし戦争が起きる。僕は、紛争をやめるのだったら、もちろん戦争をやめろと言うのも大切だけども、その国の環境はどうなんだと。環境保全からきちんと考えていかないと戦争はなくならないと思います。




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風はささやいていた。