Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

130ヶ国をこの眼で撮った! 

(3月21日放送)
桃井和馬 桃井和馬

(ももい かずま)

山口県生まれ。
フォトジャーナリストとして、常に平和を訴え、現在文明のあり方などを世界各地から自らの写真・文章を通して伝え続けている。 平凡杜の第32回「太陽賞」を受賞するなど作品も多数。 最近では、地元多摩でNPO活動にも精力的に取り組んでいる。 若い頃はカーレーサーを目指したという大のクルマ好きでもある。

このコーナーではレース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなどその人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、世界を舞台に平和を願ってシャッターを切り続ける気鋭のフォトジャーナリスト、桃井和馬さんです。どうぞお楽しみください。


先月、イラクで見た現実。
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鹿島 :今週のゲストはフォトジャーナリストの桃井和馬さんです。よろしくお願いします。

桃井 :どうも。よろしくお願いします。

鹿島 :これまでフォトジャーナリストとして世界を飛び回っていらっしゃいますけども、何ヶ国ぐらい行かれたのですか?

桃井 :大体130ヶ国ぐらいに行っています。でもね、次々に新しい国が生まれていますからね。今が191ヶ国。まだまだ知らない国がたくさんあります。

鹿島 :これまで130ヶ国あまりの国で、我々が写真でしか見ることが出来ない惨状に、実際に生で触れて来られていますが、どういうお気持ちですか?

桃井 :先月もイラクのバクダットやサマワとか、今のニュースの中心に行ってきました。米軍がいたるところででっかい銃を構えています。僕らが写真を撮ろうとすると銃を構えて、「撮るな!」と言うわけですよ。俺達に報道の自由はないのか?と言ったらですね、米軍が言うわけですよ。「あるわけがない。撮るな」ってね。だから今日本で流れている映像は、イラクの一部のものです。米軍に見つからないように撮っているか、米軍の許可のもと彼らに全然差し障りのない映像かどっちかしか出てこないですよ。

鹿島 :これはちょっとショックですね。

桃井 :本当に厳しいです。彼らは本気です。僕らの車両が米軍の車両の後ろにつくと、彼らは必ず後ろの僕らに向かって、後続車両に向かって、銃をカチッと構えます。ある一定の距離、5mぐらい以内に入ってきた車に対しては、容赦なく威嚇射撃をバーンとやります。それで止まらなかったら次はエンジンに撃ってきます。その次はもう完全に直で運転ドライバーを狙うというのが、彼らのセオリーですから。

鹿島 :それは、こちらが記者である、フォトジャーナリストであるということが、わかるような格好をしていてもですか?

桃井 :そうですね。クルマのところに“press”とちゃんとわかるようにしてありますけど、それでも撃ってきます。それぐらい彼らには不信感、恐怖感がありますね。兵隊で一番怖いのはビビっている兵隊なんですよ。今の米軍の兵隊というのはみんなビビっています。どこに敵がいるのか見えない状況ですから、容赦なく発砲します。確かに横に来た車両がバーンと爆発して、毎日のように人が死んでいますからね。米軍のほうも死んでいるんですよ。だから疑心暗鬼になっているというのが、今のイラクですね。

鹿島 :イラクの一般の人たちの心に、ファインダー越しに触れることも多いと思うのですが、どういうふうに感じていらっしゃいますか?

桃井 :彼らの心の中もとっても微妙です。フセイン政権がなくなったことに対しては、ハッピーだ、うれしいなというのがあります。それと同時に、また新しいアメリカというのが来ちゃったじゃないか、という2つで揺れ動いています。どっちに転ぶかは、日本も含めて僕らができることがいっぱいあるから、それをきちんとやった方がいいんです。

鹿島 :はい。

桃井 :実は、イラク人と仲良くやることが、今後日本を安全にすることでもあるのです。今僕が思っていることは、やっぱり武力で抑えても絶対抑えられないところが出てくるということです。段々テロが起きます。それは決してよい方法じゃない。そうではなくて、例えば文化とかスポーツとか、いろいろなことを通して友達になったほうが、僕は長い目で見たら大きな安全保障だと考えています。

鹿島 :サッカーとかオリンピックとか、世界をつないでいくもの、心をつないでいくものはあるわけですからね。

桃井 :それと同時に、実際にNGOとかいろいろな形で援助に入って、彼らと一緒に作業するとわかることがあります。何が一番良くないかと言ったら、日本人はアラブ人の友達がほとんどいないでしょう。アラブ人も日本人の友達がいないのです。これではお互いを理解できないのです。一緒に飯を喰って、お茶でも飲んでみればいいんですよ。結構いい奴じゃん、という奴がいるわけですよ。そこの中でお互いにいろいろ話し合い交流を持てば、僕は新しい社会を築けると思っています。




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レースにみる文化の違い。