Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。

新しい冒険の扉を開ける!!

(2月8日放送)
片山右京
片山右京

(かたやま うきょう)

生年月日:1963年5月29日
サイズ:165cm/60kg
出身地:東京都
1983年、「筑波FJ1600Bシリーズ」へ参戦、いきなりチャンピオンに輝く。その後フランスに渡り「F3」で活躍、帰国後「全日本F3000」チャンピオンを獲得し、F1へ! 小気味よいドライビングでF1界でも人気を集める。1999年には、トヨタチームの一員として、「ル・マン24時間耐久レース」に出場。日本人トリオとして史上最高位の2位を獲得! 現在は、レーシングドライバーとしてはもちろんのこと、登山、自転車等のさまざまなスポーツシーンで大活躍中!! 2004年の「パリ〜ダカール・ラリー」では、幾多のトラブルに遭遇、惜しくもリタイヤながら終盤までクラストップを力走、世界中のファンに勇気を与えた。


このコーナーではレース関係者はもちろん、車を愛してやまない人気アーティストをゲストにお招きして、カーライフやレースのエピソードなどその人物の本音にレーサー鹿島が迫ります。

今週のゲストは、先週に引き続きまして、パリ・ダカールラリーから帰って来たばかりの片山右京さんをお迎えしてお送りいたします。“冒険の扉につれていってやろう。ただし、運命に挑戦するその扉を開けるのは君だ”今週もこの言葉からスタートです。どうぞお楽しみください。


越えてくれよ! 
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鹿島 :今週のゲストも、片山右京さんです。

片山 :よろしくお願いします。

鹿島 :ティエリー・サビーヌさんは、28歳の時にある草ラリーに出場し、遭難しかけてヘリコプターで救助されたということがあったと。これがキッカケで、多くの理解者を集め、スポンサーを集め、安全のシステムをきっちり作って、ラリーが組織化されていったとうかがいました。

片山 :全然きっちりしていないよ。もうドキドキ!

鹿島 :今回はどうでしたか?

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片山 :後半のレースがスタートした14日目だったかな。ティジクジャというサハラ砂漠のド真ん中を走って戻ってくる、ゴール4日前のレース終盤ステージで、自分でターボを壊しちゃったんです。砂の粒子や質が砂漠によって違うの。ザラザラのところがあれば、赤い砂、白い砂、もっと龍角散みたいなものやホコリとか。

鹿島 :細かいと入り込んでしまう。

片山 :そう。それが入っちゃってターボが詰まったとたんに圧力が掛かって爆発しちゃう。その時に、僕にはわかるからかばってやらなきゃいけないんだけど、自分があまりの砂丘の大きさに恐怖にかられて、乗り越えられるかなあ…夕方までに早く越えなきゃ…と思ってアクセルを踏んで戻すことができなくて、ターボが負けてやっちゃったんだね。煙を吹いてオイルが漏れて、火が出てね。それでナビゲーターの大ちゃんに、「ごめん大ちゃん、もうダメだ」って言いました。ターボが壊れるとパワーが全然なくなっちゃうからね。

鹿島 :いろいろなものを越えられなくなっちゃうわけですね。

片山 :そう。ここから砂丘が延々と続いているし、まだ見渡す限り360度大砂丘で、もう乗り越えられないと言ったら、今まで一度も感情を出さなかったナビゲーターの大ちゃんに「あんたF1ドライバーだろ、越えてくれよ」と言われて。カチンと来たんだけど、よーし!って目が覚めたね。なんか自分の中で、いつもあきらめないとか言っていたのに、どこかで“エンジンが壊れたらダメだ”という当たり前のことなんだけど、それでブレーキが掛かっていたのが外れたね。プレートを出して、1m、3mずつしか進めないかも知れないけど絶対に越えるぞと思ってやったら、大きな砂丘を3つも越えました。

鹿島 :プレートを出すというのは、どういうことですか? 板みたいなものをタイヤの下に入れてということですか?

片山 :砂でタイヤがもぐっちゃうから板をひいて、パワーはないけれど、ゆっくり時速3qぐらいで進むの。歩くよりも遅いスピードで登って、直角に近いところをゆっくり降りていって、また向こうの砂丘を登ってという感じでね。そしたら後ろからサポートが来てくれて、命拾いしたと思いましたね。朝まで徹夜で十何時間かかったかな。キャンプ地まで引っ張ってもらいました。

鹿島 :引っ張ってもらっても10何時間。すごいですね。

片山 :真夜中でまったく見えない土煙の中に、トラックのうっすらと見えるテールランプ。本当にこんなことが永遠に続くのだろうかと思ったね。トラックのパネルに砂丘が映るんだよね。もう意識はもうろうとしているし、眠いし、疲れているし、腹なんか減っているのを通り越しちゃったね。やっとの思いで朝方キャンプに着いたらすぐにスタート。それから2日間眠らなかったね。




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ナビの一言で、扉がまたひとつ開いた!