Driver's Salon
 クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。
片山右京 さあ、冒険の扉を開けよう!



勝利のためには、おしめもはく!
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鹿島 :“SS”、これはスペシャルステージ、とにかく全開で速さを競うものですよね。

片山 :“SS”のタイムを計っていって、その合計タイムで順位が決まるんですけど、その前にリエゾンというモノもあるんです。リエゾンは移動区間で、それも限られた時間で移動しなければいけなくて、時間を過ぎるとペナルティ。ある程度超過すると、失格になっちゃう。だからすべてが、“リエゾン〜SS〜リエゾン”とか。そのままビバーク地に入ったりとか。とにかく、24時間、常に時間に縛られているんです。そこらあたりを計算しなければいけないんです。あと、マラソンステージという、2日間走りっぱなしとか。メカニックの作業が受けられないとか。GPSを使っちゃいけないとか。いろいろな課題があって、毎日走るところも、ガレキの山に砂丘に、木の間をぬうところに、山脈越えとかね。同じところがない。ですからタイヤの選択とかいろいろ大変ですね。そういう意味では、結構メンタルなレースですよね。

鹿島 :負けないように。

片山 :うん、それで長いでしょう。疲れも後半になると、だんだん溜まってくるし、とにかく眠れない。食えない。

鹿島 :18日間、大変ですね。

片山 :前半はまだ順調で、早くにキャンプに着けたからちゃんと食事もしていました。14時間半と一番長く運転していた時は、クルマを降りたのがタイヤのエアーを抜いた3分ぐらいとかでしたから。変な話、その日は大人用のおしめをしました。トイレによっている時間がないからね。700qとか500qを走って、ひどい時は、その差が40秒とかだからね。トイレの30秒が大事で、降りている場合じゃないから。18日間は、本当に1分を大切にしているからね。

鹿島 :我々は生活を見直さないとダメですね。

片山 :たぶん、みんなオーバーに言っていると思うのね。でも本当に、オフィシャルが、「5、4、3…」と言ったときに、あ〜また長い一日が始まるなあ〜と思ってね。「…2、1」で、ブゥオーってホイルスピンさせて走って出て行くでしょう。そうしたら、そのままずっと走って、4速、5速に入れて、140〜150qと走って、ジャンプをしながら走って、横のナビゲーターが「300m2本です!」とか言ってジャンプ。それから「窪み1本!」「右キャプ、1時の方向です!」とか言われて、その方向にアクセル全開に踏んでね。「9時間でアベレージ、46q/h。」とか言われて「このペースでいくと、あと3時間半です。」と、ああ今日も12時間以上かと思っていてね…。

鹿島 :すごいですね。

片山 :暗くなってきて、ライトを点けて砂丘が映ってくると、真っ暗になる前に早くここを突破しなきゃなあ、と思いながら、その1日が永遠に思えちゃうの。でも自分にとっては一瞬なんだ…って。こんなものは人生の中でたったの一瞬だから我慢しよう…とか思いながら走っているんです。ずっと続いちゃうんではないかと思う恐怖とかもあってね。1日が終わって、砂だらけのままテントにもぐり込んで、仮眠して朝起きたら、今日は「タイヤのエアーはいくつで行くよ!」と言う、その繰り返しですね。





扉を開けるのは自分。
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鹿島 :パリ・ダカの前半戦をまとめていただきますと、どんな感じですか?

片山 :前半戦を振り返ると、幸運にも恵まれましたけれども、俺達はトップを走れる、クラスが違っても狙ったならば絶対トップを走れるんだ、というすごい自信につながった大きな収穫のステージでしたね。

鹿島 :前半戦を振り返って、最も印象に残っているエピソードはなんですか?

片山 :燃料漏れと、浅賀敏則さんとジャンジャック・ラテさんの1号車、2号車の予期せぬリタイアかな。誰しも、僕が1番先にリタイアすると思っていたでしょうけど、まさかベテラン2人がリタイアとは思ってもいなかったので、それがショックでしたね。

鹿島 :かなりの重責がのしかかって来て、思わぬプレッシャーでしたか?

片山 :僕自身は全然考えていなかったことだから。「(2人は)戻って来ないので、頑張ってください」と言われたその時は、あっそう、という感じでした。でも改めて振り返れば、みんなの努力を考えたら、これはなんとしてでもゴールまで行かなきゃダメなんだって、とてもプレッシャーを感じましたね。

鹿島 :そうですか。さて、また来週お越しいただきまして、中盤から終盤、そして競技を終えた後の心境をお聞きしたいと思います。

片山 :わかりました。

鹿島 :右京さんにスタジオでお話をお聞きしていますと、だんだん照明も暗くなって、砂漠にいるみたいな雰囲気になってきますね。

片山 :向こうに、砂丘が見えるでしょう。さあ冒険の扉を開けよう!

鹿島 :「冒険の扉に連れていってやろう。ただし、運命に挑戦するその扉を開けるのは君だ」、これは、パリ・ダカを始めたティエリー・サビーヌという人の言葉ですね。

片山 :でも僕は、ヒマラヤでもみんなに言うんだけども、すべての人の前に冒険の扉があって答えも持っている。ただ、本当に開けるのは、何をやるのでも、パリ・ダカでも、ヒマラヤでも、開けるのは自分だからねって。

鹿島 :来週もよろしくお願いします。ありがとうございます。

片山 :ありがとうございます。






今週のゲストは、今年も、世界で最も長く
過酷なパリ・ダカールラリーに出場。
終盤までクラストップ争いを演じた
片山右京さんでした。

ドライバーズサロン!
来週も片山右京さんをお迎えいたします。
どうぞお楽しみに!!



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