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![]() ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 鹿島 :今週のゲストは片山右京さんです。よろしくお願いします。 片山 :よろしくお願いします。 鹿島 :この番組には、1999年の7月にル・マンの2位の結果を持って出演されて以来です。 片山 :さっきその話を聞いて、そんなに前だったのかと思いました。ル・マンの2位以来、ちゃんとした結果を残していなかったからね。今度はトヨタとして、パリ・ダカという新しい目標に向わなければいけないんです。トヨタとしては去年に続いて2回目で、去年は大失敗をしちゃったんです。元F1ドライバーというのが、たぶん失敗の原因だと思ってね。 鹿島 :去年は、僕も砂漠の中でのものすごいクラッシュ映像を観て、ドキッとしました。 片山 :あの前が、バキュンというステージだったんですよ。スタートしたら、そこから10時間とかアクセル全開なんです。とにかく、ずーっと1日中、石ころがあっても、1mぐらいの段差があっても、ジャンプしてアクセル全開で、もう怖くて前しか見ていない。その中で500qとか700q走っても、前後との差が15秒しかないんですよ。 鹿島 :すごいですね。 片山 :信じられないね。プレッシャーがありましたね。レースが長いんですよ。2時間のF1、ル・マンも長いといっても24時間、レースウィークを含めても1週間だったりとかね。それがパリ・ダカになると、1週間が過ぎ、10日が過ぎ、疲れがたまってきてね。明日はどんな砂漠が待っているのだろうとかね。もうボロボロになったところで、2日間で2000qのステージや、サポートなしや、1日で1200q以上とか。高速道路ならわかるけど、それが砂の上を平均で100q近くにするために、ずーっとアクセルを踏んでいなければいけないですから。そういう疲れが溜まってきたときに、つい、いい関係じゃなかったナビに感情的になったんです。 鹿島 :そうなんですか。 片山 :うん。感情が出たとたんに、冷静な判断が出来なくなったんです。ナビは、スピードを落として安全に行こう、と言っていたのにね。 鹿島 :はい。 片山 :だけど、「スピードを落としたら、結果を求めているのにレースにならないじゃないか」と言ったら、つい140qそのままでジャンプをしちゃって前転です。幸いクルマが頑丈なので命に別状があるほどではなかったですけど、ナビが、ガラスで頭を怪我して流血しました。クルマも持って帰れないから、火をつけて全部燃やさなければならなかったんです。そのとき初めて、自分ひとりのエゴ・感情で大変なことをしちゃったな、ミスを犯したな、と反省しました。自分が元F1ドライバーだからル・マンのときのように結果を出せと言われて、それを背負っていいところを見せようというのがどこかにあったなあと思います。 鹿島 :なるほど。 片山 :この前、今年のパリ・ダカの発表会があったんですが、今年は、「優勝は目指しません」と言いました。それが、ある人には、すごく弱気じゃないかと言われました。でも僕としては、原点に返ってF1ドライバーとかル・マンで2位になったとかは捨てますと。もう1回、1年生に戻って、経験のないラリーをこれから本気でやるという意味です。ただのギアボックスの歯車になると決めて前だけを見て、ナビが右、左…と言ったら、それに従って運転に集中します。それでゴールに行ったときに勝っていたらいいけど、何位でもいいと思います。とにかく自分の仕事をしようという意味で、僕は優勝という言葉を外しました。 |