クルマを愛して止まない「彼ら」との対話。それがレーサー鹿島のドライバーズサロン。





鹿島 :
これまでのモータースポーツの取材の中で、嬉しくてしょうがなかったというような想い出ってありますか?

島田 :そうですね。やっぱり、日本人が表彰台に立つというシーンですね。これは海外に行って取材してますと、しびれるモノがあるんです。君が代が流れると、遠い外国まで取材をしに来た甲斐があったと思います。

鹿島 :1999年、ル・マン。日本人3人で2位の表彰台。ル・マンの表彰台は、とてもでかくて高いところにありますよね。

島田 :あれは、24時間結果を待っているのも過酷ですし、あの時は、最後、片山右京選手が凄い追い上げを見せたんですよね。

鹿島 :トップを追い落とさんばかりの走行で、走行中にタイヤが破裂しちゃうんですよね。

島田 :あの時は、もう、一瞬ヒヤッとしたどころか汗が出ました。最後、チェッカーフラッグを受けた時は、ホントに目から涙がこぼれそうになった記憶があります。

鹿島 :あの時、テレビの中継では、テニスプレーヤーの伊達公子さんが出られてましたよね。

島田 :ちょうど、その時、僕は連載で彼女のページを担当していたので、行っていたんです。彼女は生でレースを見るのが始めてということで、行くにあたって事前にレースのレクチャーをした記憶があります。

鹿島 :伊達さんは、なんておっしゃってましたか?

島田 :彼女は、元々クルマが好きなんです。スピードが好きなのでこの世界に入っていく事に関しては、抵抗はなかったみたいですが、テニスと違って音がありますよね。テニスは静かな中でプレーをします。その一方で、レースはあの音でしょう。それにまず圧倒されてましたね。

鹿島 :観客の声も凄いですし、何よりあのエンジン音は、ちょっと街では聞こえない音量ですからね。

島田 :そうですね。ただ、最後に彼女が言っていたのは、やはり君が代を聴くとジーンとくると。自分もプレーヤ時代は海外で何回か聴いているのだろうに、でも、自分がやっていたものとは違う種目で、しかも海外で日本人が表彰台に上がるのを見ると、一ファンになったように喜ばしい、嬉しいって言ってましたね。

鹿島 :不思議な魅力といいますか、何かあるんでしょうね。

島田 :日本国内で君が代を聞いても、そんなに響くものはないんですが、海外の、他の国の外国人の前で国歌が流れると、やはり、こう日本人を感じさせるモノがあると思います。

鹿島 :だから、F1とか海外転戦型スポーツというのは、その国それぞれでそういう思いがありますから、盛り上がりますよね。

島田 :そこがポイントだと思います。







鹿島 :
F1の取材を通じて、ファンが一番激しかったのはどこですか?

島田 :イタリアですね。確かに、ドイツやイギリスもモータースポーツに関しては非常に熱いモノを持っているんですが、イタリアというとラテンの気質が強いんですね。だから、リタイアしても大騒ぎ。優勝しても大騒ぎ。どっちも大騒ぎなんです。

鹿島 :とにかく大騒ぎなんですね。

島田 :ホントにレースの前々日ぐらいからみんなキャンプ生活をしているんです。F1というイタリアグランプリの開催されるモンツァ・サーキットは、全体に木々に覆われた森林公園なんです。そこでキャンプをして、バーベキューをして、ワインをたくさん飲んで、レース当日にはもう、疲れ果てて、あのサウンドで心地よく寝てましたね。

鹿島 :フフフ・・・。

島田 :歓声が起こると、パッと目を覚ましてプロセスがわからずに大騒ぎしていると。それがイタリアンスタイルといえると思いますね。

鹿島 :見るぞーと、気張って見るより、フリースタイルで楽しむ。いいですね。

島田 :ヨーロッパは、日本のように肩に力が入ってなくて自然体なんです。だから、ル・マンに行ってもエルメスの店があってそこで買い物も出来るし、いろいろな楽しみ方をサーキットから提案しているという事が、一つあります。

鹿島 :これは、モータースポーツ以外でもフリースタイルで観戦するというのがあるんですか?

島田 :サッカーなんかもそうですね。日本だととにかく頑張れニッポンみたいなイメージがありますけど、ヨーロッパに行くと、そうでもないんですね。声を上げる人もいれば、ジェントルに見る人もいる。中には、大暴れする人もいると。

鹿島 :フフフ。

島田 :ですから、なんでもありですね。そこまで逆にいいますと文化です。いろんな人達の中に浸透しているという事だと思います。

鹿島 :わかりました。又、一週挟みまして、再来週当たり、お願いします。ありがとうございました。

島田 :はい。よろしくお願いします。


今週のゲストは、スポーツの持つ楽しさ、魅力はもちろんの事、
時にはアスリートの素顔や苦悩までも深く探り、我々に伝えてくれる雑誌
Sports Graphic Number編集部の島田昭彦さんでした。

ドライバーズサロン! 来週も素敵なゲストの方をお迎えしてお送りいたします。
どうぞお楽しみに!!


back home